記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
舌には、味覚を感じる機能以外にも、発声機能と嚥下機能があります。また、機能低下で舌の位置が落ち込んでしまうと口呼吸になりやすくなり、睡眠時無呼吸症候群の原因になる可能性があります。この記事では、舌の機能をアップさせるトレーニングについて解説しています。
舌には大きく3つの働きがあります。一つ目は味を感じる(味覚)働きです。二つ目は声を出す(発生)ときに働きます。そして、三つ目が、なかなか自覚しにくいですが、ものを食べるときに働きます。噛む、のみ込むという食べるときの動作は、舌がないとうまくできません。
口に入れた食べ物を舌が歯の上に運ぶことで、歯で噛むことができるのです。食べ物をのみ込むときにも、舌が食べ物を塊にして喉に押し込んでいます。
舌は筋肉でできており、加齢とともに衰えます。舌の筋肉が衰えると、食べこぼしや飲食物が気管に入ってしまうことが増えます。さらに、口の中での舌の位置が下がるため、鼻ではなくて口で呼吸するようになります。鼻呼吸の場合、鼻の中で空気中のごみが取り除かれ、温度や湿度が調整された外気が体内へ取り込まれますが、口呼吸になるとそういった調整ができないために、感染症や粘膜を痛めたりするリスクが高くなってしまいます。
舌には正しい位置があります。正しい舌の位置は
・舌の先端が上の前歯の裏についている
・舌の広い部分が、口の中上側の部分に軽くついている
の2点が基準になります。
舌が正しい位置ではなく、下がった低い位置にある状態を「低位舌」といいます。低位舌は、上記で説明した口呼吸以外にもさまざまな症状を引き起こします。
また、歯並びが悪くなったり、あごの位置の変化によって、唇が開くようになってしまうと、さらに口呼吸が促進されてしまう可能性があります。
舌は筋肉できているので、トレーニングすることで機能を向上させることができます。舌のトレーニングには、「舌の位置を正常にする訓練」と「舌の筋力を鍛える訓練」があります。舌の位置を正常にする訓練は、タッチスティックという器具を使って行います。
タッチスティックには2つの治療目的があります。
ひとつは下あごを正しい位置に移動させることです。溝に合わせて噛むことで下あごが正しい位置になります。
もうひとつは舌の位置を正しくすることです。スプーンに舌を乗せることで舌は正しい位置になります。
その他、下記のような「舌の筋力を鍛える体操」もあります。
・舌をめいいっぱい出して、上下左右に動す
・その後、上の歯から目の下辺りに舌を5秒間押し付ける
・この動作を5回繰り返す
・この体操を1日当たり5~10セット行う
以上のことを意識して舌の機能を向上させましょう。
舌は筋肉でできており、使わなければ衰えます。舌の筋肉が衰えると、食べる力が衰えてしまい、しっかりと栄養が摂れなくなる可能性があります。舌のトレーニングは舌の筋力キープにつながりますので、日常生活に舌トレーニングを取り入れて、機能維持に努めましょう。