記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
むくみ解消やダイエット効果が期待できる「塩抜きダイエット」をご存知でしょうか。これは3日間塩分の摂取量をできるかぎり減らして過ごすダイエットです。
この記事では、塩抜きダイエットの正しいやり方と注意点を解説しています。
塩分を摂りすぎると、太りやすく、痩せにくい体質になってしまうといわれています。これは塩分の過剰摂取が体内の塩分濃度を上昇させてしまうと、体は塩分濃度を下げようとして水分を貯め込むようになることが起因しています。水分(血液や体液)の量が増えれば、当然体重は増加します。
また、体が水分を貯めこむと余分な水分が増えて「むくみ」の原因になります。むくむと太って見えるようになってしまいますし、余分な水分が血管やリンパを圧迫するため血流や体液循環が悪くなり、代謝が落ちて痩せにくい体質になってしまうといわれています。
塩抜きダイエットとは、体内の塩分バランスを整えて健康を目指すダイエット手法です。
塩分の摂取を極力減らした食事を摂ることで、体内の塩分濃度を調整をはかります。
もともとは高血圧の治療や予防のために使われていた食事法ですが、高血圧でない人が3日程度取り入れることで、むくみが解消し、ダイエットや美容効果がみられたといわれているのです。
塩抜きダイエットのやり方は下記の3つが中心です。
3日間の塩抜きダイエット期間中は、料理の味付けに塩を使わないようにしましょう。
塩分の多いしょうゆや味噌、ソース、ケチャップ等は避けるようにしてください。また、加工食品やスナック菓子、外食やテイクアウトも避けるようにします。塩分含有量の少ない食品を選んで自炊し、塩分をコントロールましょう。
カリウムには、塩分の排出作用があります。バナナやメロン、アボカド、ほうれん草、大豆や小豆、イモ類などに多く含まれています。
また、お米を食べる場合は、白米ではなく、カリウムが多く含まれる玄米を選ぶようにしましょう。ただし、カリウムは過剰摂取も危険ですので、特に心疾患をお持ちの方は控えましょう。
水をたくさん摂ると、むくんでしまうのでは、と思うかもしれませんが、一時的なものです。体内の塩分が薄くなると、余分な水分が排出されるようになります。1日あたり1.5~2リットルを目安に摂取するようにしてください。
塩抜きダイエットをするうえで3点注意事項があります。
1点目は、塩分量の計算方法です。食品の栄養成分表には、ナトリウム量か食塩相当量のどちらかが記載されています。ナトリウムは、塩の主成分であって塩分量を表していません。ナトリウム1gは塩分2.54gに相当します。
2点目は、夏場のような汗を大量にかくような日に塩抜きダイエットを行うのは注意が必要ということです。
塩分は汗と一緒に排出されます。塩抜きダイエットを行うときは、汗を大量にかくような激しい運動は行わないでください。夏場に行う場合はエアコンを使って涼しい環境を保った室内で過ごすようにしましょう。
そして、塩抜きダイエットで減量できたからといって、3日以上行うことは絶対にしないでください。塩分は人間にとって必須の栄養素です。塩分が不足すると、麻痺やけいれんを起こしたり、意識障害が起こることがあります。
期間中に以下の症状が出た場合には、すぐにダイエットを中止し、病院を受診しましょう。
体内の塩分が不足すると次のような症状や身体の変化が生じます。放っておくと意識消失などの症状を引き起こすことがありますので、当てはまる項目が多い場合はなるべく早めに病院を受診して相談するようにしましょう。
塩抜きダイエットは体に蓄えた余分な水分が排出されるため、むくみの解消が期待できます。ダイエットはもちろんですが、美容や健康の面からも効果があります。ただし、注意事項を守らなければ健康を害してしまう可能性がありますので、正しい塩抜きダイエットで健康で美しい体を手に入れましょう。