記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
更年期障害では多種多様な症状が現れます。こちらの記事では、更年期障害の症状や、更年期に物忘れが起こる理由、自分でもできる物忘れへの対処法・予防法などについて解説します。
更年期障害とは、ホルモンバランスの変化により、男女ともに40代以降に現れる様々な身体的、精神的な症状のことを指します。男女それぞれに共通する主な症状は、のぼせやほてり、発汗、耳鳴り、頭痛、めまい、イライラ、物忘れ、うつ、不眠などです。
・女性の更年期障害
閉経前後の5~10年間にエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が低下することによって症状が現れるようになります。女性特有の症状としては閉経前の生理不順などが挙げられ、閉経後に膀胱炎や尿失禁、腰や膝の関節痛、肩こりなどが生じることもあります。
・男性の更年期障害
加齢に伴う身体の変化にテストステロン(男性ホルモン)の低下が合わさり、女性の更年期障害と同様の症状が現れる、LOH(加齢男性性腺機能低下)症候群と呼ばれるものです。男性特有の症状には、ED(勃起障害)、射精感消失、オーガズムの低下などが挙げられます。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、脳内でアセチルコリンと同様の働きをすることがわかっています。アセチルコリンとは、記憶や認知などを司る脳の海馬に作用する神経伝達物質です。エストロゲンは、アセチルコリンと同じく脳血管を拡張し、脳循環を回復させることで記憶能力に作用していると考えられています。
そのため、更年期のエストロゲンの分泌低下が脳の働きにも影響を及ぼし、物忘れが増えたり、集中できなくなったりするのです。さらに、脳のシナプス伝達能力は加齢によってだんだんと低下していくため、更年期頃には記憶力や集中力が低下しやすくなっています。
なお、男性ホルモンの一種であるテストステロンにも認知力の維持作用があるとされており、男性の更年期障害でも認知機能の低下が認められます。
以下は、更年期の物忘れや記憶力の低下への予防法・対処法です。
・ストレスを溜め込まないようにする
仕事や家事で忙しい、人間関係のトラブルがあるなど、精神的に負担がかかると脳も疲弊し、物忘れが多くなるといわれています。しっかりと休む、運動をする、趣味の時間を持つなど、ストレスをこまめに解消していくことが大切です。
・DHAやEPAを摂取する
脳のシナプス伝達能力の老化を防ぐDHA(ドコサヘキサエン酸)や EPA(エイコサペンタエン酸)といった必須脂肪酸の摂取もすすめられています。DHAやEPAを多く含むのは、サバ、イワシ、サンマなどの青魚です。
・物忘れ防止のトレーニングをする
就寝前にその日の行動を順に思い出す、忘れたくないことはイメージ化して覚えるなど、物忘れを防止するトレーニングをすると良いでしょう。
更年期障害は男性にも女性にも起こり得るもので、ほてりや発汗などの身体的症状だけでなく、物忘れや記憶力・集中力の低下といった症状も現れます。物忘れがひどい場合には、ストレスに気を付けたり、物忘れ防止のトレーニングをしながら対策をとっていきましょう。