室内で熱中症が起こる原因と予防対策について

2024/6/19

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

熱中症は夏の暑い日の屋外活動で起こりやすいですが、室内でも起こる可能性があり、気温がそこまで高くない日でも起こる可能性があります。この記事では、室内で熱中症が起こる原因と予防対策について解説しています。

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室内で熱中症になる原因

熱中症は、水分不足と体温上昇によって引き起こされます。暑さによる多量の発汗で体内の水分量が減ると、脱水症状に陥り、倦怠感やめまい、頭痛、脱力感、吐き気が現れ、発汗で塩分量が低下すると筋肉けいれんを引き起こします。また、人は発汗で体温(熱)をコントロールしていますが、気温が高くなると体温が上昇していくので、汗をかいて体温を下げようとします。このときに水分補給を怠ってしまうと、体内の水分が不足して熱中症を引き起こします。

熱気や湿気のこもりやすい場所は、室内であっても熱中症が起こりやすく、室内の湿度が高いと発汗しにくくなるため、室温がそこまで高くなくても熱中症になる可能性があるといわれています。温かい空気は上に移動していくため、家の最上階も熱がこもりやすく、お風呂や洗面所も熱がこもりやすくなります。

室内の熱中症予防対策について

熱中症予防として大切なのは、暑さを避けることです。室内ではエアコンで温度を調整し、必要に応じでサーキュレーターや扇風機などで空気を循環させて熱がこもらないようにしましょう。日差しが強く当たる場所では、遮光カーテンやすだれなどで直射日光を避ける対策も必要です。また、熱がこもりやすい場所や室温が上がりやすい場所には長時間いないようにして、可能であればエアコンを設置する・換気するなどの対策を取ることをおすすめします。気温や湿度が高くなってきたら通気性が良く吸湿性と速乾性に優れた衣類を着用することも、熱中症の予防に役立つ場合があります。また、保冷剤・氷・冷たいタオルで体を冷やせるようにしておくことも大切です。

頭痛がする・倦怠感や脱力感がある・吐き気がするなどの症状を感じたときは、エアコンがきいた室内や風通しの良い場所などの涼しい場所へ移動し、衣類をゆるめ体を冷やしましょう。首の周りやわきの下、足の付け根など太い血管がある部位を冷すと、効率よく体温を下げられます。このとき水分補給が必要になりますが、電解質が多く失われている可能性があるので、なるべく経口補水液で補給するようにしましょう。

おわりに:熱中症は、ちょっとした工夫で対策可能。ただし緊急時には注意!

熱中症は、室外だけでなく室内でも起こる可能性があります。上記の対策を取り入れる工夫をしながら、熱中症を予防しましょう。熱中症の人を見つけたときは、すぐに涼しい場所に移動して体を冷し、医療機関を受診させましょう。けいれんを起こしている、意識を失っているなど、重症と思われるときは救急車をよんでもかまいません。

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