記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
たんぱく尿は、本来腎臓から体内に吸収されるはずのたんぱく質が尿の中に含まれている状態です。この記事では、たんぱく尿が続いたときに考えられる体調不良にはどのようなものがあるのかについて解説します。
尿は、体内の老廃物や害になる成分を排出する働きをしています。しかし、尿の中には身体が吸収するはずだった栄養素も排出されています。排出された栄養素がごく少量であれば問題ないのですが、一定量以上のたんぱく質が尿の中に含まれていると、たんぱく尿と診断されます。
たんぱく尿かどうかは尿検査で判断します。一定量以上の尿を容器に取り、試験紙で尿の中にたんぱく質が過剰に含まれていないかどうかを検査します。ただ、「生理的たんぱく尿」と言って、肉をたくさん食べるなど、腎臓が処理しきれないほどのたんぱく質を摂取したり、激しい運動をしてたんぱく質が大量に生成されると、体は健康でも尿に含まれるたんぱく質が通常より多くなることがあります。このため、たいてい再検査を行って判断するのが一般的です。
腎臓は血液をろ過して不要な成分だけを抽出し、これを元に尿を造り出すことです。ろ過するとき、胃腸などで消化しきれなかったたんぱく質などの栄養素を再吸収してくれます。そのため、生理的にたんぱく質が増えない限り、尿に含まれるたんぱく質はごく少量です。つまり、尿の中に一定量以上のたんぱく質が含まれている状態が続いているということは、腎臓の機能が弱くなっている証拠とも言えます。
腎臓は尿をつくるだけでなく、血液やホルモン、水分などのバランスを整えて、私たちが健康的に活動するために体内環境を維持している働きをしています。このため腎臓に不調が現れると、尿だけでなく、身体のさまざまな部分に不調が現れます。そのため、日頃から腎臓の状態をチェックすることが必要です。
不調かどうかは、毎日の尿をチェックすることである程度判断できます。たんぱく尿になると、いつもより濁った色をしていて、泡立ちが目立ちます。
尿に関する病気のうち、特に気をつけなければいけないのが糖尿病です。糖尿病は、一度発症すると完全に治療する方法がないだけでなく、様々な合併症を引き起こすきっかけになる病気です。
糖尿病が悪化すると、腎臓にも影響が及びます。血液中に糖分が過剰に存在すると、大量の糖分を処理するために腎臓に大きな負担がかかります。その結果、腎臓が大きなダメージを受けてろ過機能が働かなくなる糖尿病腎症を引き起こします。
糖尿病腎症になると、たんぱく質もうまく再吸収できなくなるため、尿の中にあるたんぱく質が出てくるようになります。つまり、すでに糖尿病を発症していて、尿の中から一定量以上のたんぱく質が検出された場合は、糖尿病腎症を発症している可能性がある、ということです。
糖尿病腎症が進行すると、最終的には人工透析を受けなければならなくなります、そうならないためにも、早めに発症に気づくことが大切です。
たんぱく尿は、腎臓の機能が低下しているサインです。また、すでに糖尿病を抱えている人にとっては、糖尿病腎症を発症している兆候にもなります。たんぱく尿かどうかは、毎日の尿の色をチェックすることである程度判断できます。体調の変化に素早く気づけるよう、日ごろからチェックしておきましょう。