痛風予防につながる食生活と運動方法について

2024/8/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

痛風とは、血中の尿酸値が高くなることで尿酸塩が関節に沈着することで起こります。痛風の痛みは非常に強く、日常生活に支障が出るほど痛みを感じることもあります。この記事では、痛風の予防対策について、食生活・運動の見直し方を中心に解説していきます。

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痛風とは

痛風(痛風発作)とは、尿酸の値が高くなり高尿酸血症に至り、関節の痛みや腫れなどの症状が現れる状態です。細胞内の遺伝子(核酸)の構成成分であるプリン体が代謝されるときに尿酸という老廃物が発生しますが、血液中の尿酸が多くなり過ぎると過剰な尿酸が結晶化して尿酸塩という物質になります。この尿酸塩が関節に沈着して炎症を起こすと、痛風の痛みが生じます。

痛風のおもな症状は、足の親指の付け根などの強烈な痛みです。突然激しい痛みが起こり、患部が赤く腫れ上がり、多くの場合は7~10日で自然に治まります。痛風は、発作が起こるまでは無症状ですが、何度も繰り返すうちに発作の間隔が短くなり、悪化すると他の関節にも痛みが広がります。間質性腎炎(腎臓の尿細管やその周囲の組織である間質に炎症を起こす病気)を起こしたり、生活習慣病を併発したりする可能性もあるので注意が必要です。

痛風の予防につながる食生活

以前は痛風対策といえばプリン体の摂取量制限が中心でしたが、最近は、以下の食品を摂るようにして、過剰に作られる尿酸を防ぐ・尿酸の排出が妨げられないようにすることも推奨されています。ただし、暴飲暴食を避け、栄養バランスの整った食事を規則正しく摂ることが基本になります。主食(ごはん・パン・麺などの炭水化物)・主菜(肉・魚・卵・豆腐などのタンパク質)・副菜(野菜類)をバランスよく組み合わせて摂るようにしましょう。また、果物は果糖が多いため摂りすぎないように注意し、塩分量やカロリー量にも気をつけてください。

アルカリ性食品

尿が酸性に傾いていると尿酸が排出されにくく、アルカリ性に傾くと尿酸が排出されやすくなるといわれています。通常の尿は弱酸性ですが、過度の疲労・食事内容・飲酒などによって酸性に傾いてしまうため、アルカリ性の食品を積極的に取り入れて尿をアルカリ性に傾けることが、痛風の予防につながります。アルカリ性の食品とは、ナトリウム・カルシウム・カリウム・マグネシウムが含まれる食品のことで、おもな食品としてホウレンソウ・ニンジン・小松菜などの緑黄色野菜などが挙げられます。

乳製品

牛乳にはカゼインという成分が含まれていて、カゼインには腎臓に溜まった尿酸を排出する作用があるといわれています。カゼインはヨーグルトなどの乳製品にも含まれるので、牛乳が飲めない人はヨーグルトなどを摂るようにしましょう。ただし、乳製品が体質に合わない場合もあるので、乳製品を多めに摂っても問題ないかどうか、事前に医師に確認してください。

水分補給

水分を多めに摂取することで尿の量が増え、尿酸が排泄されやすくなります。尿酸の排泄を促すため、十分な量の水分をこまめに補給するようにしましょう。ただし、必要以上の水分量を補給しても良い影響はありませんので、推奨量以上の水分を無理して補給する必要はありません。なお、アルコール飲料や果糖などを含む清涼飲料水は、尿酸値が上昇する原因になります。アルコール飲料と清涼飲料水は控えるようにしてください。

痛風予防につながる運動方法

ウォーキングや水泳などの有酸素運動を習慣化することは、痛風の予防・改善につながります。ただし、短距離走・ウェイトリフティングなどの筋力トレーニング・マラソン・競技スポーツなどのような激しい運動や無酸素運動は、尿酸値が上昇する原因になります。運動中に会話ができないほどのレベルの運動は避けるようにしてください。どのくらいの負荷の運動をどの程度の時間すれば良いかについては、その人の体力・健康状態・体重・年齢などで変わってきますので、医師に相談しましょう。

痛風発作が起きたときの対処法

痛風発作の痛みが起きた場合は、患部を高い位置に上げて痛みを感じる部分を冷やしましょう。なお、痛風発作が起こっているときにマッサージや運動などをすると痛みが悪化する場合があるので注意してください。また、市販の鎮痛薬は、成分によっては症状を悪化させる可能性があるため、基本的には医師から処方された薬以外の服用は避け、市販薬を服用するときも医師の許可をもらうようにしてください。

おわりに:痛風の予防・改善には生活習慣の見直しが大切

痛風を治療せずに放置していると、痛みが拡がり、重症化して腎不全や痛風結石に発展することもあります。足の親指の痛み・腫れ・赤みなどの症状がある人や健康診断などの検査で尿酸値に異常がある人は、早めに病院を受診しましょう。尿酸値を改善するには生活習慣の見直しが必要になりますが、薬で尿酸値を管理する必要がある場合もあります。治療期間中は、必ず医師の指示に従い、適切な尿酸値管理を心がけましょう。

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