産後トラブルのひとつ 産後うつの原因と治療の正しい知識とは

2018/4/11

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

女性はホルモンバランスの影響もあり、うつ病になりやすいといわれていますが、産後はとくにうつ病になりやすいといわれています。この記事では「産後うつ」の原因や治療の注意点について解説していきます。産後うつは誰にでも起こる可能性がある、本人だけでなく周囲の人の関わり方も大切です。他人事と思わず、この機会にちゃんとした知識を身につけておきましょう。

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産後うつはどんな状態のこと?

産後うつとは、出産後数週間~数か月の間続くうつ状態のことです。産後3日以内に、母親が感じる悲しさや惨めさはマタニティーブルーと呼ばれます。多くの母親が経験しますが、2週間以内に治まるのが一般的です。

一方で、産後うつになってしまうと、症状が治まらずに日常生活にも影響を及ぼすことも少なくありません。産後うつになると、考え方に柔軟性がなくなり、自分自身を悪くとらえる傾向が強まります。
「子育てに自信が持てない」「赤ちゃんが可愛く思えない」「子育てが面倒」などと感じ、自分は母親失格なのではないかと自分自身を責める気持ちが強くなります。

睡眠不足に陥り、食欲もなくなり、元気がなくなります。子育てがうまくいかなくなるので、子供の成長にも影響が出る場合もあります。女性の場合、5人に1人が一生のうちで一度はうつ病になるといわれていますが、その中でも特に妊娠中や出産後は特にうつ病が発症しやすい時期といわれています。

産後うつはどんなきっかけで発症しやすいの?

産後うつが発症する原因はまだよく分かっていません。しかし、さまざまな要因によって発症のリスクが上昇する場合があり、妊娠前や妊娠中にうつ病を発症している場合には産後にもうつ病を発症する可能性が高まるといわれています。また、家族にうつ病患者がいる場合にも発症リスクが高まりますし、出産後にホルモンのバランスが急激に崩れ、女性ホルモンが低下するとうつ病につながる場合があります。

そして、子育てにはパートナーや家族のサポートが重要ですが、これらが不足しているとうつ病の発症リスクが高まるので、パートナーや家族は注意しましょう。

その他にも、夫婦間の問題や、経済的な問題などによってストレスを感じていたり、そもそも計画していなかった妊娠や生まれてきた子供に障害があったりしても、産後うつにつながることがあります。

産後うつは早期に適切な治療を受けることが大切

産後うつは非常に大変な問題であるのにも関わらず、適切な治療を受けていない方は多くいます。周囲の理解不足によってうつ病による母親の苦しみを軽視したり、母親自身もうつになったのは自分が不甲斐ないからだと責めてしまい、病院に行かないことも多いといわれています。
うつ病を放置すると、重症化したり、再発を繰り返すケースが多いので、専門医のもとで適切な治療を受けることが重要です。

うつ病の治療は、抗うつ薬などを使った薬物治療と、カウンセリングや認知行動療法等の心理療法を組み合わせて進められますが、症状が重度の場合は入院して治療を行うこともあります。
授乳期に抗うつ薬を使うことに不安があるかもしれませんが、薬の種類や時期、タイミングなどをしっかりと専門医に確認しながら服用することでリスクを最小限に抑えることができます。

そして、うつ病の治療には家族や周囲のサポートが重要です。本人と家族の十分な理解のもとで、自身にあった治療ができるようにしっかりと専門医と話し合いましょう。

おわりに:産後うつは専門医による適切な治療を

産後は女性がうつ病を発症しやすい時期です。産後うつになってしまうと、本人はもちろんのこと、子供や家族が苦しい状態になってしまいます。うつ病を気持ちの問題だと放置すると、症状が悪化、長期化し、再発のリスクも高まります。産後うつの疑いがある場合には、専門医に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。

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