記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
死産とは、妊娠12週目以降に亡くなって生まれてしまったことを表します。同じ年には、1,423人の赤ちゃんが生まれて7日以内に亡くなっています。亡くなる原因が必ずしもはっきりと分かるとは限りません。
赤ちゃんが子宮の中で既に亡くなってしまっている場合(子宮内胎児死亡と呼びます)、自然に出産が始まらないため、出産を促すために薬を投与します。この方法が赤ちゃんを取り出すのに最も安全だとされています。また、赤ちゃんの姿を自分の手で抱くことも可能になります。今回の記事では、死産と向き合い、悲しみを乗り越えるためにできることをお伝えします。
自分の赤ちゃんを亡くしてしまうことへの精神的なダメージは計り知れません。あなたやパートナーは悲しみ、怒り、罪悪感、不信感など、いろいろな感情を経験するかもしれません。
女性によっては、赤ちゃんの泣き声が聞こえる気がしたり、まだお腹の中で赤ちゃんが動いているような感覚になる人も少なくありません。一般的に、赤ちゃんを失ったことへの悲しみは、亡くなってから数カ月間が一番激しいとされています。
亡くなった赤ちゃんとの思い出をできる限り作ることが気持ちを和らげることにつながると言う人もいます。亡くなった赤ちゃんを抱いている姿を思い浮かべたり、名前を付けたりすることです。また、写真を残したり、髪の毛、手形や足型を残しておくのもよいでしょう。そうすることが、赤ちゃんが生きていたことの証となり、死を受け入れやすくなることもあります。医師やカウンセラーと相談したり、過去に死産を経験した人に話を聞くのもよいでしょう。
多胎妊娠でひとりの赤ちゃんが亡くなった場合(たとえば、双子を身ごもっていたのに、どちらかが死産になってしまった場合)もまた、どんな親にとっても辛い出来事です。
赤ちゃんが亡くなってしまったことへの悲しみを抱えながら、もうひとりの赤ちゃんの誕生を喜び、世話をするということで、さまざまな複雑な感情を入り混じります。この場合、生きて産まれた赤ちゃんが未熟児である場合が多く、新生児集中治療室で特別なケアが必要となる場合、より心配になる可能性があります。
お別れの仕方は、赤ちゃんを失った悲しみと向き合う上でとても大事です。お葬式や告別式を自分で計画することもできますし、病院が手伝ってくれることもあります。もしお葬式をしたくない場合は、する必要はありません。
多くの人は、赤ちゃんを亡くしたことへの悲しみが非常に長い期間続くことに驚くといいます。
死産に対する悲しみは、経験した人にしかわからないものがあります。赤ちゃんが亡くなったことを受け入れるのは難しいかもしれません。亡くなってしまった赤ちゃんのためにも、時間をかけてでも乗り越えていけるよう、ひとりで頑張すぎないようにしましょう。