お酒で風邪薬を飲むのが危険な理由とは?

2018/2/20 記事改定日: 2018/3/29
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

風邪薬は水や白湯で飲むことが大前提です。
中にはお酒と一緒に服薬してしまうという方もいるようですが、お酒で薬を服用すると非常に危険な状態になる可能性があります。
この記事でその理由を見ていきましょう。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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お酒で風邪薬を飲むと危険なワケ

アルコール飲料で風邪薬を飲むことは大変危険で、命の危険にかかわるような副作用を招く可能性もあります。
これは、アルコールと薬が両方とも肝臓で代謝・分解されるためです。
肝臓でアルコールや薬を代謝する時には「代謝酵素」という酵素が使われますが、2つを同時に摂取すると代謝酵素を取り合うことになります。
つまり、アルコールの分解に多く酵素が使われてしまうと、代わりに薬を代謝する酵素が無くなり、血液の中に通常よりも薬の成分が多量に入りんで想定以上に働いてしまうことが起こり得るのです。
そうなると風邪薬で風邪を治しているはずが、逆に重篤な病を引き起こしかねません。

上記のメカニズムは、風邪薬だけでなく他の病気の治療薬にも当てはまります。

アルコールで効果が強まる成分がある?!

アルコールで効果が増強される代表的な成分に〈抗ヒスタミン成分〉があります。
市販の風邪薬はせきや鼻水、のどの痛みなどを抑える目的で、複数の成分が混合されている「総合感冒薬」として製造されていますが、その成分の中には鼻水などを抑える目的で〈抗ヒスタミン成分〉が含まれていることが多いです。
抗ヒスタミン成分はアルコール摂取によって増強することが指摘されており、眠気・判断力低下などの副作用が強く現れる可能性があります。

お酒での服用はNG!その他の薬剤

風邪薬以外の薬も原則としてはアルコールでの服用は避けるべきです。
中でも、下記の薬剤はお酒で飲むと特に危険性が高いので気をつけましょう。

〈血圧降下剤〉

アルコールには血管を広げて血圧を下げる効果があります。
そのため、血圧を下げる血圧降下剤をアルコールで服用してしまうと、極端に血圧が下がりすぎて危険な状態に陥る可能性があります。
また、先述したようにアルコールは抗ヒスタミン剤や睡眠薬などの作用を必要以上に強めてしまうので、飲み会の前などには薬を飲まないようにするか、アルコールを摂取しないようにする必要があります。

〈解熱鎮痛薬〉

解熱鎮痛薬をアルコールで服用すると、薬の代謝を促す胃や肝臓にも悪影響を及ぼします。
解熱鎮痛薬は薬に配合されている成分によって一時的に胃や肝臓にダメージを与えてしまうことがありますが、アルコールが体内に入っていると薬の効果がますます強まり、胃や肝臓をさらに傷つけやすくなってしまうことがあります。
特に風邪を引いて発熱している場合は、お酒を代謝するのにいつもより体に負担がかかりやすくなっているので、アルコール飲料そのものを飲むことをできるだけ控えてください。

コーヒーやジュースで薬を飲むのもダメ?

薬をジュースやコーヒーなどの飲み物で飲むと、薬の成分が飲み物の成分に作用して予想外の反応が起こるリスクがあります。
コーヒーなどのカフェイン入りの飲み物は、一部の頭痛薬・風邪薬・鼻炎薬などの、カフェインが配合された薬と一緒に飲むと、カフェインの過剰摂取になって症状が悪化する恐れがあります。
また、グレープフルーツジュースに含まれている成分には、薬の代謝を邪魔して薬の効き目を強くしすぎる働きがあるので、降圧剤や抗生物質、胃腸薬などと一緒に飲むのは危険だということがわかっています。
お酒と同様に、風邪薬をコーヒーやジュースと一緒に飲むことも避けましょう。

〈薬は水か白湯で飲もう!〉

薬は水か白湯で飲むことを心がけましょう。
風邪薬は水や白湯と一緒に飲むことでスムーズに胃に届くように作られています。
また、水や白湯で服用すると風邪薬が溶ける時間が短くなり、薬の効き目が想定通りあらわれやすいというメリットもあります。

(※ただし「水なしで服用可能」という表記や、医師から薬剤の服用についての特別な指示がある場合を除きます)

錠剤やカプセルの薬を砕くと効果が減る?!

原則として、水で服用するように指示がある薬は噛んではいけません。
「お腹の中で溶けるなら、噛んでもよいのでは?」と思うかもしれませんが、錠剤やカプセル剤は様々なコーティングによって解けるまでの時間を調整したり、腸でしか溶けないようにするなどの工夫がなされています。
例えば、1日2回飲むタイプの風邪薬を噛んでしまうと、想定よりも効果が早く切れてしまう可能性が高いです。

おわりに:風邪薬をお酒で飲むのは危険!

風邪薬をお酒で飲むと、アルコールによって薬が効き過ぎたり、特定の成分の効き目が必要以上に強くなりすぎたりして、危険な状態を引き起こす可能性があります。
これは風邪薬以外の薬剤を飲む場合も同様です。
市販薬・処方薬に関わらず、薬は水又は白湯で服用するようにしましょう。

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