記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/27 記事改定日: 2019/1/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
睡眠不足の健康リスクにはさまざまなものがありますが、実は睡眠不足は高血糖のリスクを上げることがあるのです。
この記事では、血糖値・血圧の上昇リスクと睡眠不足との関係性について解説していきます。
睡眠不足は、血糖値を下げる作用のある「インスリン」というホルモンの分泌量を低下させることが分かっています。このため、睡眠不足が続くと、血糖値が高い状態が続き、糖尿病発症の引き金となったり、糖尿病の悪化につながることがあります。
睡眠不足は糖尿病だけでなく様々な病気の発症・悪化の原因になることがありますので、規則正しい睡眠習慣を心がけるようにしましょう。
睡眠障害が高血圧を引き起こすのは、自律神経(交感神経と副交感神経)が大きく関係しています。
一般的に、健康な人は日中に交感神経が優位となり、就寝中に副交感神経が優位となるので、血圧は起床時から上昇し、夕方から徐々に低下し、就寝中に最も低くなります。
しかし、睡眠障害のある方や睡眠不足の方は、就寝中も脳が覚醒しており交感神経が優位になっているので、夜間も日中と同じく血圧が高い状態です。これが高血圧を招く原因となります。とくに夜間高血圧は脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクが上がるので注意が必要です。
そして、高血圧の状態が続くと糖尿病のリスクも上昇しますし、糖尿病の人が高血圧になると合併症のリスクが高まります。
糖尿病を悪化させないためにも、睡眠環境と生活習慣を見なおして血圧管理を徹底しましょう。
高血糖や高血圧予防のためには睡眠時間をきちんと確保するだけでなく、睡眠の質を高めることも重要です。
健康診断で血圧や血糖値、BMI、腹囲が基準値をオーバーしていた人は、「睡眠時無呼吸症候群」の発症リスクが高いので、とくに意識して質の高い睡眠が得られるようにケアしていきましょう。
睡眠の質を高めるためには、体内時計が正常に働くようにする必要があります。
1日3食同じ時間に食べ、規則正しい食生活を送るようにしましょう。
もちろん、寝る時間と起きる時間も毎日できるだけそろえるようにしてください。
また、交感神経は朝起きて光を浴びるとスイッチが入り、副交感神経は夜寝る前に明かりを消すとスイッチが切り替わるという性質があります。
朝起きたら必ず日光を浴びる習慣をつけ、夜寝る前にスマホやパソコンの光を浴びないように心がけましょう。
そのほか、入浴は寝る2〜3時間前までに済ませる、寝る前のコーヒーや緑茶を控えることも忘れないようにしてください。
睡眠薬の服用によって良質な睡眠が得られることで、インスリンの分泌量が正常化し、血糖コントロールが改善することもあります。しかし、睡眠薬の種類によっては、糖尿病のリスクが高くなるとの研究データもあるため、自己判断で市販の睡眠導入剤などを服用するのは控えましょう。睡眠障害に悩んでいる人は、必ず医師に相談の上、血糖値に影響のない睡眠薬を処方してもらうようにしましょう。
睡眠不足は、業務効率を下げるだけでなく、高血圧や高血糖の状態を招き、心筋梗塞などの深刻な状態を引き起こす恐れがあります。
慢性的な不眠や睡眠不足でお悩みの方は、ご紹介したセルフケアを実践しつつ、一度専門外来を受診して睡眠不足を根本から改善させましょう。