記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
日本人に多くみられる「花粉症」ですが、この花粉症の原因となる植物にはどんな種類があるのでしょうか?また、花粉症を悪化させる原因物質とは何でしょうか?
日常生活に隠れた原因も合わせて以降で詳しくご紹介していきます。
花粉症は季節性アレルギー性疾患で、植物(草や木)の花粉に体が反応して抗体を作ったときに発症します。
くしゃみ、目のかゆみ、涙目、鼻づまりなどが主な症状で、花粉症の原因となる主な植物には以下のものがあります。
日本で最も多い、花粉症の原因となる植物です。雄花には淡黄色の花粉が蓄えられ、2〜4月に大量の花粉を飛散させます。悲惨距離が長いため、全国でスギ花粉症の患者が見られます。鼻水や目のかゆみ、充血、喉のかゆみ、皮膚症状などを引き起こします。
スギ花粉症と合併することが多いのが、ヒノキ花粉症です。3〜5月に花粉が飛散し、スギと同じく悲惨距離が長く、広範囲に発症者が見られます。症状もスギ花粉症と同様です。
本州の中部以北に分布している落葉高木で、特に北海道の花粉症患者さんはシラカンバ花粉症が多いです。花粉の飛散時期は4〜6月で、鼻水や目のかゆみ、くしゃみ以外に、りんごなどを食べた際の口腔アレルギーを引き起こすことがあります。
主に兵庫県の六甲山周辺で見られる樹木でしたが、近年は全国的に植樹されるようになり、オオバヤシャブシ花粉症の患者数は拡大傾向にあります。3〜4月が花粉の飛散時期で、同じくカバノキ科のシラカンバと同様に、口腔アレルギーが起こることがあります。
スギ花粉症、ヒノキ花粉症に次いで多い花粉症がブタクサによるものです。背は1mほどの草花で、日本全土の道端や土手などで見られます。花粉の飛散時期は8〜10月で、鼻や目の症状以外に気管支喘息を引き起こすことがあります。
繁殖力が強い野草で、空き地や河川敷などに群生しています。花粉の飛散時期は8〜10月で、症状はスギ花粉症と同様です。
イネ花粉の飛散時期は5〜6月ですが、稲刈りのときに花粉が舞い上がることがあるので、秋に発症するケースも少なくありません。鼻炎や目の症状以外に、小麦の食物アレルギーを発症しやすくなります。
アルコールやタバコは、花粉症を悪化させる原因物質の一つです。飲酒をすると鼻の粘膜の血管が拡張して鼻づまりがひどくなります。また喫煙は鼻の粘膜の炎症を引き起こすだけでなく、ニコチンが血行を悪化させるために鼻炎症状が強くなってしまいます。
花粉症の発症には車の排気ガスも関与していることがわかっています。
花粉症は、アレルギーを引き起こすIgE抗体と呼ばれる免疫細胞が体内で産生されることで発症します。IgE抗体の産生量には個人差があるため、同じ環境にいても花粉症を発症する人としない人がいるのです。
車の排気ガスの含まれる微粒子が、このIgE抗体の産生を促すことが様々な実験から明らかになっています。また、排気ガスの多い都市部よりも農村部の方が花粉症患者が少ないとのデータもあり、現在では花粉症の発症に排気ガスが関与していると考えられています。
種々の花粉症対策を行っても症状が改善しない場合は、お住いの地域の空気汚染が影響している可能性がありますので、空気汚染予報などをチェックしてみるようにしましょう。
日常生活の中にも花粉症の発症を促す原因が潜んでいることもあります。主な原因には以下のようなものが挙げられますので、思い当たる習慣が多い人は注意しましょう。
花粉症の原因となる植物にはさまざまな種類がありますが、それぞれ花粉の飛散時期や引き起こす症状が少しずつ異なります。まずはご自身がどの植物アレルギーを持っているのか、検査でしっかり特定することが大切です。
また、日常生活の過ごし方が原因になっていることもあります。禁煙・禁酒を心がけ、症状を和らげる食べ物を食べたりなどのセルフケアに努めましょう。