記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/20 記事改定日: 2019/3/8
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「薄毛の主な原因は遺伝とストレス」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、実際、薄毛の原因にはどんなものがあるのでしょうか?そして薄毛を防ぐには、どんな対策が有効なのでしょうか?
薄毛の原因の一つは、遺伝といわれています。実際、過去に外国で、「薄毛家系の人と薄毛家系ではない人に対して、それぞれ男性ホルモンであるテストステロンを注入したところ、薄毛家系の人で現在ハゲていない人は薄毛が始まり、薄毛家系ではない人は薄毛が始まることはなかった」という実験結果が発表されました。
現在、薄毛には「5αリダクターゼ(酵素の一種)の活性度を決める遺伝子」「アンドロゲンレセプター(ホルモンを感知する器官)の感受性を決める遺伝子」の2つが関連していると考えられています。
まず前者の遺伝子に関してですが、そもそも薄毛は、「テストステロン」と「5αリダクターゼ」の結合によって生成される「ジヒドロテストステロン」という男性ホルモンが引き起こすものです。つまり、5αリダクターゼを体質的に多く持つ人は薄毛になりやすいのです。
また薄毛は、ジヒドロテストステロンが毛乳頭のアンドロゲンレセプターに反応したことにより、毛母細胞の分裂が妨げられることで発生します。つまり、アンドロゲンレセプターがジヒドロテストステロンと結合しやすい人も、同様に薄毛になりやすいです。このことから、後者の遺伝子も薄毛に関連していると言われています。
薄毛の原因は、遺伝の他にも色々あります。例えば、ストレスは薄毛の原因のひとつです。過度のストレスにより自律神経が緊張し、血管が収縮すると、頭皮の血流が悪くなります。すると毛根への栄養補給が滞り、髪の毛が太く育つ前に抜けてしまうことになるのです。
また、生活習慣の乱れも原因として挙げられます。脂っこい食事や過度の飲酒、喫煙などは、いずれも発毛を妨げる要因です。特に喫煙は頭皮の血流悪化を引き起こすので、薄毛にお悩みであれば禁煙しましょう。他には、不適切な洗髪や頭皮に合わないシャンプーも薄毛の原因となることがあります。
薄毛は遺伝が関与している場合があり、薄毛を引き起こす遺伝子の研究も進められています。
しかし、薄毛の遺伝子を持っている人が必ずしも薄毛になるわけではなく、薄毛の発症には生活習慣や頭皮の状態などが深く関与しています。
食生活や睡眠習慣、ストレスなどの生活習慣を改善したり、頭皮の乾燥や皮脂の分泌を抑えて頭皮に負担がかかるようなシャンプーや染髪剤を使用しない、などの対策で薄毛を予防することができます。また、薄毛が気になる場合は専門の医療機関で治療を行うことで症状の改善や進行の予防が可能なことも少なくありません。
日頃から頭皮に優しい生活や習慣を心がけ、薄毛が気になる場合は病院で相談するようにしましょう。
遺伝的に薄毛になってしまうこともありますが、薄毛の発症には、生活習慣などの複合的な要因が関係しています。薄毛になりやすい家系だとしても、気を落とさず、血行を良くする習慣をつけたりなど対策を始めましょう。