記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
スギ花粉症を予防するには、あるいは悪化を防ぐには、どんな対策が有効なのでしょうか?スギ花粉症の発症メカニズムや、治療上の注意点と併せて解説します。
まずは、なぜスギ花粉症が起こるのか、そのメカニズムを理解しましょう。
そもそも花粉症とはアレルギー性鼻炎の一種で、身体がスギ花粉を身体に有害な「アレルゲン」と判断し、これを攻撃することで起こる症状をスギ花粉症と言います。
身体がスギ花粉を異物と認識し、抗体を持つようになると、スギ花粉が身体に入ってきたときにこの抗体が反応し、花粉から身を守ろうとさまざまな症状を引き起こします。代表的な症状であるくしゃみや鼻水、涙は花粉を体外に排出しようとするための反応であり、鼻詰まりはこれ以上身体に花粉が入らないようにするための防御反応なのです。
このように、花粉そのものを攻撃することによって発症するため、身体に入ってくる花粉の量が多ければ多いほど、症状は重くなる傾向があります。
最も有効な花粉症対策は、とにかく花粉に近づかず、体内に入れないようにすることです。自分で簡単にできる花粉症対策としては、以下のようなものがあります。
・気温が高く、花粉の飛散が多い時間帯の外出や換気は避ける
・洗濯物は室内干しにし、衣服からの花粉吸入を防ぐ
・外出時は花粉の付きにくいポリエステル素材の衣服を着用する
・マスクやゴーグルなど、市販の花粉症対策グッズを積極的に使用する
・外出先から帰ったら、家に花粉を持ち込まないよう衣服をはたいてから入室する
・衣服だけでなく、シャワーやうがいで身体についた花粉も洗い流す など
辛い症状が現れたら、自分にできる予防策から実践していきましょう。
近年、花粉症の免疫療法の一環として、スギ花粉を含む錠剤・タブレット・カプセルなどのさまざまな健康食品を摂取する方も少なくありません。
免疫療法は、アレルゲンと物質を少量ずつ摂取して身体を慣らし、体質改善を図ることで、花粉症の症状緩和や根治を目指す治療法で、医師の指導のもとで行うなら有効な治療法となり得ます。
しかし、免疫療法ではアレルゲンを摂取するため、使用法を誤るとアナフィラキシーショックなど重大なアレルギー症状を起こし、命にかかわる状態になるリスクもはらんでいるのです。スギ花粉症の人が、医師の指導なく食品からスギ花粉を摂取することは大変危険ですので、絶対にやめてください。
一方、シソや甜茶、緑茶、緑黄色野菜などは花粉症を起こす分泌物・ヒスタミンを分解する働きがあるため、スギ花粉症の改善に効果があると言われています。花粉症に強い体質づくりのために、積極的に摂取すると良いでしょう。
ただし、これらの食品や飲料だけでスギ花粉症を治療できるわけではないので、耳鼻科を受診して、医師による治療を受けることが大切です。
洗濯物は室内干しにする、帰宅時は衣服をはたいてから家に入るといったちょっとした工夫だけでも、スギ花粉症の予防効果はあります。ただし、治療するには専門家である医師の指導が不可欠ですので、辛い症状がある場合はできるだけ早く耳鼻科を受診してください。