記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/19 記事改定日: 2020/5/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
骨格筋の細胞が壊死したり溶けたりする「横紋筋融解症」とは、何が原因で発症する病気なのでしょうか。横紋筋融解症の原因や、治療法、初期症状があらわれたときに受診する診療科などを解説します。
横紋筋融解症は、筋肉の細胞に異常が発生する病気です。人の筋肉は「平滑筋」と「横紋筋」という2種類に分けられます。
横紋筋融解症は、上記の2つの筋肉のうち横紋筋に異常があらわれます。
横紋筋の骨格筋の細胞が壊死したり溶けたりしてしまうことで、筋肉に痛みが生じたり、力が入らなくなったりする病気です。さらに、血液に溶け出したミオグロビンによって腎不全が引き起こされ、最悪の場合には命を落とすこともあります。
ミオグロビンとは、筋肉を構成する物質の一つです。血液に乗って全身に酸素を運搬する働きがある赤血球中のヘモグロビンと呼ばれるたんぱく質から酸素を受け取り、筋肉の活動に必要な酸素を供給する役割を果たします。
このようにミオグロビンは筋肉の働きを維持する重要な働きを担いますが、血液中に大量に流入するようになると腎臓の機能にダメージを与えることがあります。
ミオグロビンは通常、血液中にはごく少量しか存在しません。しかし、横紋筋融解症をはじめとして筋肉にダメージが加わる病気やケガが生じると、筋肉中から漏れ出したミオグロビンが血液中に大量に流入するようになります。
ミオグロビンは分子が大きいため、血液中のミオグロビンが増えすぎると腎臓の血管に詰まりやすくなります。
腎臓の働きは有害な物質をろ過して体に必要なものは再吸収し、不要になった物質や体に害のあるものは尿細管を通って尿として排出することです。ミオグロビンが尿細管につまると体に不要なものを排出できなくなり、急性腎不全を起こし、全身の状態も悪化していきます。
横紋筋融解症の初期症状は筋肉に関するものです。とくにひざから足首までの下腿(かたい)部を中心に起こることが多いとされています。自覚症状としては、以下のようなものがあります。
横紋筋融解症の治療は、早期発見と早期治療が大切です。横紋筋融解症の初期症状と思われる異変や違和感を感じた場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
原因が何であるか、治療が必要かどうかを早期に判断することが、重症化を防ぐことにつながります。
横紋筋融解症の発症には、以下のようにさまざまな要因があると考えられています。
同じような状態や状況にあっても、患者さんの体質などによって横紋筋融解症になるかどうかは異なります。
横紋筋融解症を引き起こす要因のひとつに、挫滅(クラッシュ)症候群があります。挫滅症候群は、大きな事故や災害のときに四肢が圧迫された状態が長時間続くことによって引き起こされます。
長時間にわたって強い力で手や足が圧迫されると、圧迫された部分の筋肉細胞が壊死し、ミオグロビンや高濃度のカリウムが血中に溶け出します。
圧迫されて血行が滞っている時点では、それらの成分が全身に広がることはありませんが、圧迫から解放された後に一気に血液が全身に流れ出すため、出血やショック、腎不全など重篤な症状につながります。
横紋筋融解症は早期診断で原因を特定し、適切に治療を行うことが大切です。横紋筋融解症かもしれない症状があラわれたら、すぐに病院を受診してください
横紋筋融解症は早急に治療をしなければ死に至る危険がある病気です。
横紋筋融解症を疑うような症状があるときは、できるだけ早く病院を受診することが大切です。日中であれば、ある程度の規模の整形外科や内科などを受診し、休日や夜間は救急外来を利用しましょう。
横紋筋融解症は、全身の筋肉の細胞が壊死したり溶け出してしまう病気です。手足のしびれや痛みのほか、腎臓などの臓器にも影響を与え、重症化すると命に関わる病気です。早期に診断や治療を開始できれば、重症化を防ぐことにつながります。手足のしびれや痛み、いつもと違う違和感などがある場合は、医療機関を受診しましょう。
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