記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
女性に多いとされる「冷え性」。夏でも手足が冷たいため、冷房が効いた室内では辛い思いをしてしまいます。そんな冷え性の方から、いま注目を集めているのが「冷え性外来」です。以降では、冷え性外来で行われる治療内容などについて解説していきます。
「冷え性」は、手足の先などの細い血管の血行が悪くなり、身体の表面の温度が下がって冷たく感じる状態です。本来身体が持っている体温調節機能がうまく働かず、気温とは関係なく体が温まらないので、真夏であっても症状が出ます。
主な原因と考えられているのは、ストレスや不規則な生活、空調の効かせ過ぎによる「自律神経の乱れ」、きつい下着や靴などによる「皮膚感覚の乱れ」、貧血、低血圧や血管系などの疾患のある人の「血液循環の悪化」、女性や運動不足の人などの「筋肉の量の少なさ」です。
そのほか、栄養が偏った食生活やダイエットによるエネルギー不足、女性ホルモンの乱れによる血流作用の低下なども原因とされています。
特に手足に冷えを感じるのは、身体には重要な臓器が集まる中心部を一定の温度に保とうという働きがあり、寒いときなどは末端まで血液が行き渡りにくくなることによります。
なお、冷え性の原因には動脈硬化に伴うものや、シェーグレン症候群などの膠原病をはじめとした疾患が背景にあることもありますので注意が必要です。
冷え性の改善には、基本的に身体を温める食べ物をとること、適度な運動をすることなどが大切となります。
まず、ミネラルやビタミンの豊富な食事を心がけましょう。特にすすめられているのが、ビタミンEの摂取です。ビタミンEには血流を促進して末端の血行障害を改善する働きがあるほか、ホルモン分泌を調整する作用もあり、自律神経の乱れの改善に役立つといわれています。
ただし、冷え性にはほかの病気が潜んでいる場合もあります。手足だけでなく全身がむくんでいたり、理由もなく極端に冷えを感じる場合、夏に冷えがひどく全身の重だるさが回復しない場合、冷たいものに触れたあと冷えが治らずに血の気がなくなってしまう場合などには、医療機関の受診をおすすめします。こうした症状のない場合には、セルフケアで改善を図るのが良いでしょう。
冷え性外来では、一般にビタミンEや患者の症状に合わせた漢方薬の投与など、薬物治療が行われます。また、保険適応外ですが、より強力な改善を期待する点滴治療が行われる場合もあります。
「血液クレンジング療法」は、血液を取り出し、血液とオゾンを専用瓶内で混合して血液をサラサラにします。癌の術後などにも用いられる治療法で、免疫細胞を活性化させ冷え性を改善します。
「アルファリポ酸点滴・カルニチン点滴」では、体内で生産している酵素とアミノ酸ペプチドを用います。ダイエット治療などにも使われる方法で、細胞レベルでの基礎代謝の不活発体質を改善することで冷え性を改善します。
「マイヤーズカクテル療法」はビタミン・ミネラル点滴で循環系を促進する治療法です。自律神経失調症からくる冷え性にも効果があるといわれています。
「グルタチオン療法」ではグルタチオンを用い、血管の若返りや神経の修復で冷え性を改善します。
冷え性はセルフケアで改善できる場合もありますが、病気による冷え性はセルフケアを行ってもなかなか改善することはありません。通常の冷え性にはない症状がある場合や、セルフケアだけで改善しない場合は、医療機関を受診するようにしましょう。