記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
生理前の辛いPMS(月経前症候群:以下PMSと表記する)や閉経後の骨密度の低下は、多くの女性を悩ませるものです。しかし近年、「エクオール」という成分がこれらの症状緩和に役立つということがわかってきました。エクオールの役割などについて、解説していきます。
エクオールは、女性ホルモンと似た働きをする成分です。大豆イソフラボンに含まれるダイゼインが腸内の細菌によって代謝されることで生み出されます。
エクオールを生み出すには、元となる大豆イソフラボンの摂取が必要になります。大豆イソフラボンは、豆腐や納豆など大豆を原料とする食品のほとんどに含まれます。
更年期以降の女性は、閉経して女性ホルモンの分泌量が低下すると、骨量が2年で5~7%程度減少するとされていますが、大豆イソフラボンを摂取し、エクオールが作られると、骨密度の低下が抑制されることが分かっています。
エクオールは全員が作れるわけではありません。エクオールを作るためには、エクオール産生菌という菌が腸内にいる必要があります。エクオール産生菌が大豆イソフラボンをエクオールに変換してくれますが、この菌がいない人は、大豆イソフラボンのまま吸収されてしまいます。
なお、日本人ではおよそ50~60%の人が作ることができるというデータがあります。ただし、年齢が下がるにつれて、作れる人の比率が低下してきており、若い世代だと20~30%になっています。比率が低下してきている原因はまだ解明されておりませんが、食生活の変化が原因なのではないかと言われています。特に、大豆製品を食べる機会が少なくなったことが一因だと考えられています。大豆の摂取量は60代が最も多く、年齢を経るについて下がってきています。
体内でエクオールが作られるようにするには、エクオール産生菌がしっかりと働ける状態にすることが重要です。エクオールの元となる大豆イソフラボンは、摂取してから約1日で体外に排出されしまいます。したがって、大豆食品を毎日摂取することが大切です。
また、腸内環境も重要です。腸の中には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つの菌がいますが、善玉菌が優勢になるようなバランスを保つことが大切です。善玉菌を優勢にするためには、ストレスや睡眠不足、偏った食事を避け、規則正しい生活習慣と栄養バランスのよい食生活を心がけるようにします。腸内環境が良くなれば、エクオール産生菌も活性化し、エクオールが作られるようになります。
エクオールは女性ホルモンに似た働きをする成分で、大豆イソフラボンが腸内の細菌に代謝されることで作られます。腸内環境が悪化すると作る能力が低下してしまうので、規則正しい生活習慣や栄養バランスのよい食生活で腸内環境を整えて、エクオールが作られるようにしましょう。