記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/1 記事改定日: 2019/7/2
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
18歳になっても月経が来ず、周期的な腹痛や腰痛に見舞われる場合、「月経モリミナ」かもしれません。この月経モリミナは、処女膜閉鎖によって発症する可能性のある病変です。詳しくは以降で解説していきます。
処女膜閉鎖という症状をご存知でしょうか。処女膜閉鎖とはその名の通り、処女膜に開口している部分がない状態の事をいいます。通常、妊娠5か月頃までに胎児が女の子だった場合には、腟板の中が空洞になって管のようになります。腟腔と尿生殖洞は処女膜によって分離されており、処女膜自体はその後破裂するのが正常な成長です。ところが、この過程になんらかの障害が出てしまうと処女膜閉鎖になります。
症状としては、腟内や子宮・卵管に粘液や液体がたまってしまう事による下腹部痛やしこり、原発性無月経、頻尿や排尿痛・排便痛を感じる場合があります。
原発性無月経とは18歳になっても初潮がない状態のことです。また、頻尿や排尿・排便時に痛みがあるのは、思春期以降に経血がたまって膀胱や尿道を圧迫するからです。これが原因で周期的に腹痛や腰痛を感じるのも珍しい事ではありません。なお、経血が出てこない事で生理(医学的には月経というのが一般的です)の周期の度に腹痛などがある事を月経モリミナといいます。
月経モリミナでは子宮や卵巣などの状態は正常ですが、経血の出口がない事から腟や子宮などに周期的に溜まっていくことで腹痛や腰痛を感じます。この状態を長期間放置しておくとやがて変形したりする事があり、なかなか妊娠に至らない状態になってしまう場合があります。
多くの場合、月経モリミナになっているとは気づいておらず、激しい下腹部痛を感じて受診した際に発覚します。月経モリミナはきちんと治療を受ける事によって改善し、正常な月経を迎えるようになりますので、医師と相談しながら治療を受けることが大切です。満18歳を迎えても月経を迎えない場合などは、月経モリミナの可能性があるので一度検査を受けるようにしましょう。
処女膜閉鎖になっている場合、治療としては外科的手術を受ける事になります。処女膜を輪っか状もしくは十字状に切開して、まずは腟や子宮内部に溜まっているおりものなどの粘液や経血などを取り除きます。その後、処女膜が閉鎖しないように周囲に縫合をしておきます。こうする事で経血やおりものなどが体外へ排出される道が出来ます。
こういった手術は早期に行うほうが良いです。長年放置してしまうと経血やおりものなどが腟や子宮だけではなく卵巣にまで及び、卵管留血症になって不妊へとつながってしまうからです。処女膜閉鎖かもしれないと感じたら、まずは婦人科もしくは産科、産婦人科で診察してもらうようにしましょう。
処女膜閉鎖がある場合、人によっては泌尿生殖器にも合併奇形が見られる事もあるため、その場合にはそちらも同時に治療を行う事になります。
月経モリミナは放置すると不妊につながる可能性もありますが、原因である処女膜閉鎖の治療を早期に行えば改善が見込めます。該当する症状がある場合は、早めに婦人科を受診してください。