記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2022/4/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ビタミンDは、骨の健康を保つために必要な栄養です。ビタミンDの摂取量が不足したり過剰摂取になったりすると、健康リスクがあるため注意が必要です。この記事では、ビタミンDの1日の摂取量の目安と過剰摂取のリスク、摂取方法のコツについて解説します。
ビタミンDは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンの一種で、カルシウムやリンの体内代謝に役立ち、骨格や歯を健康に保つ作用があります。また、人体の免疫力を向上させることで、がんや糖尿病を予防できる可能性も指摘されており、ビタミンDの作用についてはさらなる研究が進められています。
ビタミンDにはいくつかの種類がありますが、人体に必要とされているのは「ビタミンD2 (エルゴカルシフェロール)」と「ビタミンD3(コレカルシフェロール)」の2種類です。ビタミンD2は干ししいたけや海藻など植物に由来するビタミンDで、D3は魚肉や鶏卵などに含まれる動物性のビタミンDです。ビタミンD3は、日光を直接浴びることで人体の中で生成することもできます。
ビタミンDの摂取量の目安は、成人の場合は1日あたり8.5μgとされています。妊娠中や授乳中の人も同様に8.5μgが目安です。ただし、この数値は適度に日光を浴びている場合の目安になります。また、ビタミンDの過剰摂取には健康被害のリスクがありますので、1日あたり100㎍以上の摂取にならないように注意してください。
ビタミンDが不足するとカルシウムやリンの代謝が低下し、骨格や歯の形成や維持が進みにくくなることで、以下の健康リスクが高まります。
また、乳幼児がビタミンDの欠乏状態になると、「くる病」に罹患するおそれがあります。くる病は、胸骨や肋骨、頭蓋骨など人体をつくっている様々な骨が曲がってしまう病気で、歯もボロボロになってしまいます。立つことや歩行することも難しくなる可能性があり、子供のQOL(生活の質)が著しく低下する原因になります。
ビタミンDは魚介類とキノコ類に多く含まれているため、積極的に摂るようにしてください。1日1食は魚料理を取り入れるようにすると、うまく摂取できると思います。イワシやサンマには1尾で約15μgほどのビタミンDが含まれていますので、とくにおすすめです。
また、ビタミンDは、日光を浴びることで体内生成できます。ビタミンDの不足を予防するためには、適度に日光を浴びることもおすすめです。室内に引きこもりがちの生活を続けていると、ビタミンDが不足しやすくなるので、1日10〜20分程度は外に出て日光を浴びる習慣を作りましょう。日光を浴びる時間が作れない人や日照時間が少ない地域にいる人は、ビタミンDのサプリメントで摂取できますが、過剰摂取には十分注意してください。
厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」によれば、成人は1日に100μgのビタミンD摂取が上限とされています。
1日に100μgを上回るビタミンDを摂ると、ミネラル代謝が過剰となり、血液中のカルシウムが多くなる「高カルシウム血症」になるリスクが高くなります。高カルシウム血症になると、心臓や腎臓など、さまざまな臓器にカルシウムが沈着しやすくなり、以下のような症状が現れるようになります。
一般的な食事内容であれば、通常ビタミンDの過剰摂取になることはありませんが、ビタミンDのサプリメントを飲み過ぎによるビタミンD過剰症のリスクはあります。サプリメントは、必ず用法用量を守って使用しましょう。
ビタミンDは体内合成ができる栄養ですが、食事による摂取が基本になります。骨粗しょう症が心配な高齢者・シニアはとくに気をつけて欲しいので、魚、鶏卵、レバー、キノコ、海藻などを積極的に食事に取り入れましょう。ビタミンDの1日の摂取量の目安は8.5μgとされていますが、これは適切な量の日光を浴びた場合の数値です。1日10〜20分程度は外に出て日光を浴びることが大切です。日光を浴びられない場合や食事での摂取が難しい場合は、ビタミンDのサプリメントもありますが、過剰摂取には高カルシウム血症のリスクがありますので、飲み過ぎには十分注意してください。