記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/4 記事改定日: 2019/6/6
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
どこかで聞いたことがあるかもしれませんが、日本人の多くはカルシウム不足と言われています。今回はカルシウム不足が引き起こす健康上のリスクや、効率の良いカルシウムの摂取方法などをご紹介します。
飽食の時代とも言われる現代ですが、日本人のカルシウムの摂取量は不足しています。
1日のカルシウム摂取の推奨量は、男性の場合、18〜29歳は800mg、30〜49歳は650mg、50歳以上で700mg、また18歳以上の女性の場合は650mgです。しかし実際の成人男性(20〜59歳)の平均摂取量はおよそ450mgに留まり、女性も同程度に留まっています。特に20代女性の平均のカルシウム摂取量は396mgと極めて低いです。
カルシウム不足で起こる代表的な症状は
などです。
まぶたがけいれんしたり、足がつったりするのは、カルシウム不足による筋肉活動低下が原因で、物忘れやイライラは脳神経の働き低下によるものです。
カルシウム不足により、血中のカルシウム濃度が高まれば、脳神経細胞の働きがコントロールできずにイライラが起こります。
カルシウム不足による症状には、「カルシウム・パラドックス」が関係しています。カルシウム・パラドックスとは、カルシウム不足により血中のカルシウム量が増える現象です。
簡単なメカニズムとしては、カルシウムが不足して身体が危機感を感じると、「骨」に備蓄してあるカルシウムを取り出し、血中に補給するようになります。こうして慢性的にカルシウム不足が続けば、骨からの補給量が増え、血中のカルシウム濃度が高まるようになるのです。
カルシウムは、心臓の筋肉や脳神経細胞のコントロールなどの重要な役割を果たしていますが、カルシウム濃度が高まれば、血流が悪くなり、心臓が強い力で血液を送り出そうとするため、高血圧を招きます。さらに、カルシウム不足で血管の細胞は傷つきやすくなり、動脈硬化や脳卒中を招きかねません。
十分な量のカルシウムを食事から摂るには、乳製品(牛乳・粉ミルク・チーズ・ヨーグルトなど)や魚介類、海藻、豆類などをバランスよく摂ることが大切です。
また、カルシウムは一緒に摂る栄養素によって吸収される量に差が生じます。ビタミンDや梅干しなどに含まれるクエン酸はカルシウムの吸収を促しますが、リンや食物繊維はカルシウムの吸収率を下げることが分かっています。
効率よくカルシウムを摂るには、食べ合わせにも注意してみましょう。
カルシウムが不足すると、高血圧や動脈硬化など、命に関わるような思わぬ疾患を引き起こす可能性があります。高齢者・シニアや子どもは不足しやすいといわれています。未然に防ぐためにも、普段から積極的にカルシウムやマグネシウムの摂れる食生活に変えていきましょう。