テタニー症状の原因って?どんな特徴があるの?

2018/1/16 記事改定日: 2019/11/5
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

テタニー症状とは、何らかの疾患などによって血液中のカルシウム濃度が下がることで起こる、筋肉の硬直や痙攣のことです。こちらの記事では、テタニー症状の概要や、その原因、治療法などについて解説します。

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テタニー症状とは

テタニー症状とは、血液中のカルシウム濃度やマグネシウム濃度が低下することで末梢神経の興奮性が高まり、筋肉が持続的に硬直することです。
口の周りや手足の先端のしびれ感などの症状が特徴的ですが、テタニー症状には以下のようなものも含まれます。

手足の痙攣
手足が痙攣し、「助産婦の手兆候」と呼ばれる、手をすぼめたような形になる
(痙攣自体は喉頭や全身に出ることもある)
呼吸困難
原因にもよりますが、息がうまくできない、呼吸が早くなるといった様子が見られ、「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」といった呼吸音(喉頭喘鳴)が出ることもある

発症のメカニズム

カルシウムは筋肉や神経の興奮の調節を行う大切な電解質です。
テタニー症状の原因は血中のカルシウムやマグネシウムなどの電解質の減少ですが、カルシウムが不足すると神経や筋肉が過剰に興奮し、筋肉が痙攣することでテタニー症状が生じます

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テタニー症状を引き起こす原因は何?

テタニー症状を引き起こすものには、以下のようなものがあります。

甲状腺機能低下

甲状腺には「副甲状腺」と呼ばれる、体内のカルシウム量を調節するホルモンを分泌する内分泌腺があり、この副甲状腺の機能が低下するためにテタニー症状が起こることがあります。

そのため、バセドウ病で甲状腺を手術すると、術後にテタニー症状が見られるケースがあります。

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腎臓の疾患

腎臓の機能低下でカルシウムの排出が正常に行われなくなり、テタニー症状が起こります。

原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症とは、副腎皮質の異常によってアルドステロンと呼ばれるホルモンが過剰分泌される病気です。

アルドステロンはナトリウムの貯留とカリウムの排泄を促すホルモンです。血圧を上昇させる作用があり、体内のカリウムが不足すると一時的な筋力の低下や麻痺を引き起こすことがあります。

血液中の酸性度はつねに変化するので、タンパク質であるアルブミンとカルシウムイオンの結合が増え、その結果としてカルシウムイオンが減少しテタニーが起きることがあります。

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過換気症候群(過呼吸症候群)

テタニー症候群の原因で特に多いとされるのが過換気症候群です。
過呼吸によって血液のpHがアルカリ側に傾くと「呼吸性アルカローシス」という状態になり、血液中のカルシウム濃度が低下するため、テタニー症状が生じます。

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テタニー症状はどうやって治療すればいい?

テタニー症状は、血中のカルシウムが不足することで引き起こされます。このため、テタニー症状の治療にはグルコン酸カルシウムの投与が必要となります。

しかし、このようなカルシウム剤の投与は一時的に症状を改善するにとどまり、根本的な治療は副甲状腺機能低下症や腎機能障害などテタニー症状の原因となる病気の治療も同時に行っていく必要があります。

過換気症候群への対処

過換気症候群は若い女性を中心によく見られる症状の一つです。
以前は、過換気症候群を発症した際には紙袋を口に当てて、吐いた息を再度吸わせることで体内の二酸化炭素濃度をアップさせる「ペーパーバック法」が広く行われていました。
しかし、現在ではペーパーバック法は体内の酸素不足を引き起こすことがあるため、危険と考えられています。

過換気症候群を発症したときは、静かで落ち着いた場所に移動させ、安心して呼吸を整えるよう促すことでほとんどは自然に回復していきます。しかし、過呼吸の状態が長く続くときは救急車を要請することも検討しましょう。

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おわりに:テタニー症状は、原因への対処が重要になってくる

手足のしびれや硬直といったテタニー症状の原因は甲状腺機能低下や腎機能の低下などがあり、過換気症候群で発症することもよくみられるといわれています。

過換気症候群は不安や緊張などの精神的な原因で起こるものが大半です。過換気症候群が疑われる場合には、受診して適切な治療を受けてください。

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