記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/6 記事改定日: 2019/7/24
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
キハダとは、日本各地に生えているミカン科の樹木のことを指します。こちらの記事では、キハダに含まれる「黄柏」と呼ばれる成分や、その効能、使われ方などについて解説します。
キハダとは、ミカン科キハダ属の落葉高木(らくようこうぼく)です。日本各地の山に広く分布しており、中国や朝鮮半島といったアジア北東部にも自生しています。灰褐色で分厚いコルク層の幹や楕円形の小さな葉を持ち、樹皮の内側が黄色であることが特徴です。
キハダのコルク層を取り除いて内皮を乾燥させたものを「黄柏・黄檗(おうばく)」といいます。黄柏は古来より薬効があるとされ、胃や腸の調子を整えたり、神経痛を和らげたりするための漢方薬などに用いられてきました。なお、黄柏は現在でも以下のような漢方薬に用いられています。
キハダには、ベルベリンという成分が含まれています。ベルベリンとは、鮮やかな黄色と非常に強い苦みという特徴を持つ、アルカロイド(植物から取れる、窒素を含む塩基性の有機化合物)の一種です。ベルベリンには以下のような作用が認められています。
キハダの抗菌作用は強く、チフスやコレラ、赤痢といった病原菌に対しても効果があり、腸内の病原菌の増殖を抑制したり、病原菌を殺したりする作用があります。そのため、以前から現在まで、下痢止めや整腸剤として長く使用されています。
キハダには強い苦みがあることから眠気覚ましとして使われたり、その鮮やかな色味のために染料として使われたりしたこともありました。このほか、打撲傷や関節リウマチ、やけどなどへの外用消炎薬としても用いられています。
キハダに期待されているのは、以下のような効果です。
キハダには、唾液や胃液、膵液といった消化液や胆汁の分泌を促す作用があり、食欲を増進させたり消化を助けたりする作用があるとされています。ただし、キハダは非常に苦く、煎じたものをそのまま飲むのは難しいため、粉末に加工されているものを服用するのが一般的です。
キハダには抗菌作用もあります。そのため、細菌が原因の急性腸炎などにも効果があるとされています。実際に、下痢が止まらない時などに処方される漢方薬にも黄柏が含まれています。
キハダには抗炎症作用や中枢神経抑制作用があります。そのため、うちみにキハダのペーストを塗布したり、関節リウマチや腰痛などでつらい時にキハダを含む湿布薬や入浴剤を使用したりすることで症状が和らぐとされます。
キハダという名は聞きなれないかもしれませんが、古くから整腸剤や下痢止め、炎症止めなどとして使用され、現在でも多くの漢方薬に使用されている樹木です。お腹の調子が悪い方やリウマチなどでつらい方は、漢方の取り扱いのある病院で処方について相談してみることをおすすめします。