記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ホスファチジルセリンとは、脳の情報伝達に大きく関わっている成分で、脳の機能を改善する効果があるとも言われています。こちらの記事では、ホスファチジルセリンの働きや効果、どのように摂取すれば良いのかについて解説します。
血液内に存在し、体の中の脂肪が運搬されたり蓄えられたりする際にタンパク質と結びつける役割を持つ、細胞膜の主成分をリン脂質といいます。ホスファチジルセリンとはそのリン脂質の一種です。
ホスファチジルセリンは脳や神経組織に多く存在しており、脳内で神経伝達物質と電気信号がスムーズに作用するように促すことで、脳の情報伝達において重要な働きを担っています。水溶性と油溶性の両方の性質を併せ持ち、細胞内へ栄養素を取り込んだり、細胞膜内の老廃物を排出したりすることで、脳細胞を正常に保っています。ホスファチジルセリンは、正常に脳を働かせるために欠かせない重要な成分と言えるでしょう。
ホスファチジルセリンには以下のような効果が期待されています。
ホスファチジルセリンが脳細胞の新陳代謝を活発にさせたり、脂質の酸化を抑制したりすることが、記憶力低下の改善や学習能力の向上につながると考えられています。
軽~中度のアルツハイマー病患者が6週間一定量のホスファチジルセリンを摂取したところ、認知力の改善が認められたという結果が得られました。これには、情報伝達を助けたり、血流を改善したりするホスファチジルセリンの作用が関係していると考えられています。
ホスファチジルセリンには、気持ちをリラックスさせる神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促す働きがあります。この作用によりストレスを感じにくくさせたり、ストレスへの耐性を向上させたりすることにつながるとされています。
ホスファチジルセリンは、人間の体内で合成されるだけでなく、納豆や豆腐などの大豆製品、豚肉、鶏肉、卵、キャベツといった食品にも含まれています。しかし、食品ひとつひとつのホスファチジルセリンの含有量は少なく、食事でホスファチジルセリンを摂取したとしても、記憶力や学習能力の向上、ストレス軽減などの効果を得るのは難しいでしょう。
そのため、脳や心の健康維持を目的としたホスファチジルセリンの摂取においては、食事ではなくサプリメントで効率的に摂取することが勧められます。近年では大豆由来のホスファチジルセリンを用いたサプリメントが販売されているので、物忘れが気になる、集中力や記憶力を上げたい、ストレスが溜まっているといった場合には、ホスファチジルセリンが含まれるサプリメントを試してみると良いでしょう。
ホスファチジルセリンの摂取は、記憶力や認知力の向上や、アルツハイマー病の予防、ストレスを和らげるといったことに役立つと考えられています。しかし、食品から十分な量のホスファチジルセリンを摂取するのは困難なので、サプリメントの継続的な摂取を心がけると良いでしょう。