記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/6 記事改定日: 2019/3/8
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
薄毛予防に効果があるとして、男性から注目を集めている「ノコギリヤシ」。果たしてノコギリヤシには、どんな効果が期待できるのでしょうか?注意すべき副作用の問題などと併せて解説します。
ノコギリヤシは、北アメリカ大陸が原産であるヤシ科の植物です。古くから滋養強壮の効果があるとして、人々の暮らしの中で使われてきました。
近年、医学の進展とともに、ノコギリヤシにはコレステロール値を下げて、男性ホルモンの分泌バランスを調整する機能があることが分かってきました。
ノコギリヤシから抽出されたエキスには、前立腺肥大症などの泌尿器系疾患や、男性型脱毛症(AGA)などを改善させる効果があるとされています。また、オレイン酸を多く含むため、コレステロールを下げる働きもあるとされています。
ノコギリヤシのエキスには、男性ホルモンのテストステロンが変質した「ジヒドロテストステロン(DHT)」を増殖させる酵素「5-αリアクターゼ」の働きを抑制する効果があるといわれています。
このジヒドロテストストロンや5-αリアクターゼが活性化することで、男性の体内で起きやすくなるのが、前立腺肥大症やAGAです。AGAは、頭髪が5~6年かかって抜け替わる発毛サイクルをジヒドロテストステロンが阻害して、頭髪が抜けるペースを早めることで起きます。
このノコギリヤシの5-αリダクターゼの発生を抑制しジヒドロテストステロンを増殖を防ぐ作用は、薄毛対策に役立つ可能性があります。
ただし、あくまで健康効果として期待されているにすぎず、医学的な治療法として未だ確立されているわけでない点には注意が必要です。
頭髪や頭皮は主にたんぱく質でできており、亜鉛にはたんぱく質の生成を促す機能があります。よって、亜鉛には頭髪や頭皮を健康に保ち、脱毛を防ぐ働きがあると考えられます。
亜鉛は生命維持に必須のミネラルで、体内で絶えず消費されますが、貯蔵することができません。つまり、日々の食事などから亜鉛を摂取し続ける必要があります。なお、アルコール依存症や消化器疾患の患者さんや妊婦さんは亜鉛不足になるおそれがありますが、普通の食事を摂っていれば亜鉛不足に陥ることはまずありません。
また、「亜鉛のサプリメントをノコギリヤシエキスと一緒に摂取すれば、発毛が促進される」といわれることがありますが、それを医学的に立証した研究は存在しません。むしろ、貧血や神経症のリスクなど、亜鉛の長期的な過剰摂取がもたらしうる副作用に注意を払うべきです。
ノコギリヤシは副作用が生じにくく、安全に使用できることがほとんどですが胃部不快感や吐き気などを覚える場合もあります。また、長く服用を続けることで、男性ホルモンが慢性的に減少した状態となり、性欲の減退や筋肉・体毛の減少など体つきが中性的になるとの報告もあります。
また、ノコギリヤシは性ホルモンに影響を与えるため、ホルモン療法やピルなど服用している人は治療効果が低減する可能性があるとされています。さらに、抗凝固薬や抗血小板薬と飲み合わせると効果が増大して出血を起こしやすくなるとの報告もあるため、自己判断で服用を開始するのはやめましょう。
ノコギリヤシは男性ホルモンの一種であるテストステロンの変成を防いで、AGAを予防する効果があるとされているからです。
ただし、多く摂れば摂るほど効果が増大するものではありませんので、サプリなどでの服用の際にはご注意ください。