記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/27 記事改定日: 2019/6/25
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
免疫力が低下すると、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなると言われますが、そもそも免疫力が低下する原因とは何でしょうか?
免疫力が働く仕組みと免疫機能を低下させないための対処法もあわせて解説していきます。
免疫とは、病気から逃れる仕組みのことです。免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。
風邪などの感染症をもたらす病原体は、普段、鼻水や咳、胃液、皮膚の常在菌などによって排出・殺菌・除去されています。
これらの機能をすり抜け病原体が体内に侵入してきたときに対応してくれるのが免疫であり、病原体から体を守る点においては、免疫機能がきちんと働いていることが非常に大切です。
免疫力が低下すると風邪などの感染症にかかりやすくなり、悪化しやすくもなります。
例えば免疫力が低下した状態でインフルエンザになると、症状の重篤化だけでなく、呼吸器などでの二次感染も起こしやすくなり、死亡リスクも上昇することがわかっています。
また、免疫力が低下するとがんの発症リスクが上がるともいわれています。実は私たちの体内では、日々3000個程度のがん細胞が生まれているのですが、普段は免疫力ががん細胞を排除してくれているので、がんを発症することはありません。
しかし、加齢や生活習慣の乱れによって免疫力が低下すると、がん細胞をうまく排除できずに発症してしまうリスクが高まる可能性があると考えられています。
その他、免疫力と生活習慣病には関連性があると考えられており、動脈硬化の原因の一つとして免疫力の低下や乱れが挙げられています。
免疫力を低下させる原因としては、生活習慣の乱れ、加齢、ストレス、抗生物質の多用などさまざまな要因が考えられます。
栄養バランスの悪い食生活、睡眠不足などの生活習慣の乱れは免疫機能低下を引き起こします。免疫力を維持するには、身体の状態を整えるタンパク質やビタミン、ミネラル、エネルギーなどがバランスよく含まれた食事が必要であり、日々の疲れを癒す十分な睡眠が不可欠です。
また、喫煙習慣や過度な飲酒なども肝臓や肺などの臓器にダメージを与え、動脈硬化の原因にもなりますので免疫機能を低下させることがあります。
加齢は誰もが避けて通ることはできない道ですが、年齢を重ねるごとに免疫に関与する細胞の働きが低下することで身体の中に侵入した異物に対する防御反応は鈍くなっていくため、必然的に免疫機能も低下していきます。
このため、些細なきっかけで風邪を引いたり、一度体調を崩すと治りにくくなるようになります。
また、ヒトの身体には、一度感染したウイルスや細菌などに対する抗体が作られることで同じ病原体に感染しても発症・重症化を抑える仕組みがありますが、年齢を重ねるごとに一度体内で形成された抗体の働きが鈍くなることで同じ感染症にかかってしまうことも増えてくると考えられています。
過度なストレスは、副腎からのステロイドホルモンの分泌を促すことがわかっています。ステロイドホルモンには、身体の炎症などを抑える作用がある一方、免疫力を低下させる働きもあります。このため、ストレスが溜まると免疫機能が低下しがちになるのです。
また、ストレスは自律神経の乱れも引き起こします。その結果、不眠や初期不振、体温調節異常などの身体症状を引き起こし、免疫機能にダメージを与えることもあります。
免疫力をなるべく低下させないためには、まず、適度な運動を習慣化して体を温めることが大切です。入浴で体を芯から温めるのも有効です。40℃程度のお湯に20〜30分ゆっくりつかるようにしてください。
また、睡眠中は免疫細胞の働きが活発になるので、日々十分な睡眠をとるようにしましょう。栄養バランスに気をつけて食事を摂ることも大切です。
そして、ストレスを溜めすぎないよう、体を動かしたり、ゆったり読書したり、好きなことに打ち込んだりしてリラックスする習慣をつけるようにしてください。
加齢や薬の影響だけでなく、生活習慣の乱れやストレスによって免疫力が低下してしまうこともあります。日頃から栄養バランスの取れた食事と規則正しい生活を心がけ、こまめにストレスを発散することが大切です。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。