記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
春に咲く花として知られる「タンポポ」ですが、このタンポポは料理やお茶、サプリなどで摂取できることをご存知でしたか?タンポポに期待される効能と併せて解説していきます。
タンポポは、ヨーロッパやアジアを原産とし、世界中に広く分布しているキク科の雑草です。特に温暖な気候のもとで自生しており、春に咲かせる黄色い花、春の終わりから夏にかけて、まるい綿毛で種を飛ばす習性があることで知られています。
さまざまな種類があり、だいたい背の高さは20cmほど、葉は濃い緑色で、種類によって葉のかたちや大きさが異なってきます。日本には20種類程度のタンポポが自生していますが、特に葉がギザギザしていて、花が外側に反り返って咲くものは「セイヨウタンポポ」という外来種です。
葉や茎を切ると白い乳液が出てくるのが特徴で、英語圏では葉のギザギザがライオンの歯に似ていることにちなんで、ダンデライオンと呼ばれています。
また、タンポポは日本原産のものを含め、広く食用とされてきた歴史がありますが、特にセイヨウタンポポは、原産のヨーロッパにおいて第一級の薬草として親しまれています。
次は、タンポポに含まれている成分や、おすすめの摂取方法などについてご紹介していきます。
タンポポには、部位ごとに以下のような成分が含まれています。
・ルテイン(緑黄色野菜などに含まれるカロテノイドの一種)
・ビタミンA
・ビタミンB群
・ビタミンC
・ビタミンD
・カリウム
・ビオラキサンチン(緑黄色野菜などに含まれるカロテノイドの一種)
・タラキサンチン(苦み成分の一種)
・イヌリン(植物性の糖類の一種)
・コリン(ビタミンに似た働きをする栄養素)
・フェノール酸(ポリフェノールの一種)
タンポポは食材として、さまざまな料理に使用することができます。
特に葉の部分は野菜として、いろいろなアレンジができる食材になります。若い葉であれば水にさらして生のままサラダとして食べられますし、他にもパスタや炒め物の具として油とあわせたり、佃煮や漬物の材料としてもおいしくいただけます。
タンポポは食材としてだけでなく、根や葉の部分を加工することで、お茶やコーヒーなど飲料として摂取することもできます。タンポポを飲料として摂取する方法は、まだコーヒーが高価であった時代のポーランドにおいて誕生したと言われています。
タンポポを原料とした飲料には、大きく分けて「タンポポ茶」と「タンポポコーヒー」の2種類があります。どちらもタンポポを原料とした飲料の名前で、その成分や効能には大きな差はないと言われていますが、原料や飲み方においては、以下のような違いがあるとされています。
・タンポポ茶…主に葉や根を乾燥させて、細かく砕いて煎じて飲むもの
・タンポポコーヒー…主に根の部分のみを焙煎し、フィルターなどでろ過して飲むもの
ただし、生産者や販売業者によっては、上記の違いなく販売しているところもあるため、タンポポ原料の茶・コーヒーの定義は、扱う人によってさまざまなのが現状です。
当初はコーヒーの代用品であったタンポポ飲料ですが、その後ヨーロッパ全土に広がり、コーヒーと違いノンカフェインであることと、栄養価の高さなどの理由から、現在に至るまで人々から愛されています。
食材や飲料として摂取されてきたタンポポですが、近年では、タンポポのエキスを配合したサプリメントも販売されるようになりました。
タンポポエキス配合のサプリメントには、葉や根など、部位ごとの抽出エキスを主原料とするものや、それぞれの栄養成分をバランスよく配合したものなど、いろいろな種類があります。得たい効果・栄養成分などによって自分に合うサプリメントを選び、上手に利用すると良いでしょう。
次は、タンポポの摂取によって期待される効果・効能についてご紹介していきます。
利尿作用の高いカリウムを豊富に含んでいるため、身体から余分な水分や老廃物を排出させ、むくみを解消・改善させてくれる効果が期待できます。継続的に摂取すれば、むくみの予防も見込めるでしょう。
タンポポに含まれる苦み成分であるタラキサンチンは、消化器官全体の働きを良くし、胃液や胆汁など、消化液の分泌を促進する作用があります。この作用が消化や消化器官の働きそのものを助け、活発化させるため、食欲増進の効果が期待できるのです。
タンポポには肝臓や脾臓を強化し、解毒を促進する作用があるため、身体にとって毒素となる便の排出を促し、便秘解消を助けてくれると考えられます。
タンポポに含まれるビタミン群や鉄分などの豊富な栄養成分と、ホルモンバランスを調整する作用により、母乳の分泌促進効果も期待できると言われています。また、タンポポはノンカフェインなので胎児への影響がなく、妊娠・授乳中でも安心して飲むことができます。
タンポポの根に含まれる弛緩(緊張をほぐす)作用により、タンポポ原料の飲料には、一般的なハーブティーのようなリラックス効果も期待できます。
最後に、タンポポの摂取によって起こり得るデメリットについても理解していきましょう。以下に、主にタンポポの根の成分を飲料として摂取する場合において、発症の可能性がある副作用や症状についてまとめました。
非常にまれですが、人によっては、ノンカフェインのタンポポコーヒーの摂取が原因で不眠や動悸などの症状が現れる場合があります。
前述したように、タンポポには消化器官の働きや、消化液の分泌を促進する作用があります。このため、体質によってはタンポポの摂取によって胃酸過多の状態になり、胃部の不快感や痛み、吐き気を催す人もいます。
腸閉塞の患者さんがタンポポを摂取すると、活発になった腸内活動の影響により、症状が悪化する可能性があります。
体内で解毒を行い、消化や代謝を助ける働きのある胆汁を運ぶ胆のう・胆道などが炎症を起こしたり、閉塞している患者さんも、タンポポの摂取によって病状が悪化することがあります。
上記のような疾患を抱えている人は、タンポポの根を原料とした飲料やサプリメントなどを摂取してしまわないよう、しっかりとラベル等を確認するようにしてください。また、上記のような持病のない方でも、タンポポの摂取が原因と疑われる不眠・動悸の症状が出た場合には直ちに摂取を中止し、医師に相談しましょう。
古くから食用・薬用の植物として世界中で親しまれてきたタンポポには、むくみ改善、食欲増進、解毒促進、母乳の分泌促進など、さまざまな効果が期待されています。興味のある人は、含まれる成分や摂取方法、摂取によるデメリットなどを把握したうえで、生活のなかに取り入れてみてください。