記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
紅茶には、「テアフラビン」という紅茶ポリフェノールが豊富に含まれています。このテアフラビンを摂取すると、具体的にどんな効果が得られるのでしょうか?
効率よく摂取できる紅茶の飲み方とあわせて見ていきましょう。
テアフラビンとは、茶の木など、カテキンを含む植物から構成される成分名です。「紅茶フラボノイド」と呼ばれることもある成分で、ワインなどに含まれていることで知られるポリフェノールの一種に分類されます。
テアフラビンは、茶葉を揉みこみ、茶葉についた傷から染み出した酵素とカテキンなどポリフェノール成分が交わり、発酵が進むことでのみ生成されます。このため、製造工程に発酵が含まれる紅茶やウーロン茶など、特定の種類のお茶のみに含まれるのが特徴です。
また、テアフラビンの色素は赤く、特有の渋み・苦みを持つ成分であるため、紅茶やウーロン茶の色や味のもととなっています。
紅茶やウーロン茶など、発酵によって生成される茶葉に含まれるテアフラビンを摂取すると、どのような効果が期待できるのでしょうか。
ここからは、テアフラビンの摂取によって期待される4つの効果について見ていきましょう。
テアフラビンには、インフルエンザウイルスの持つ特定のタンパク質を覆う性質があり、インフルエンザウイルスの感染力を失わせることで、ウイルスの人体への侵入と感染を防ぐ効果が認められています。
このことから、紅茶(テアフラビン)を飲んだり、紅茶を使ったうがいをすることで、ウイルスの型を問わずインフルエンザへの感染を防ぎ、インフルエンザにかかりにくい状態を作ることができると考えられています。
テアフラビンは、お茶に含まれる各種ポリフェノールのなかでも、ヒトの体に有害な細菌やウイルスに対して高い殺菌・消毒効果があると考えられています。
たとえば、食中毒や腹痛を引き起こすボツリヌス菌、コレラ菌、ピロリ菌をはじめ、皮膚疾患を引き起こす白癬菌(水虫菌)などへの消毒・殺菌の効果が報告されています。
テアフラビンには、コレステロールの酸化を抑え、悪玉のコレステロールのみの生成を抑える効果が報告されています。このため、悪玉コレステロール(LDL)値の低下にも効果が規定できる成分といわれています。
テアフラビンには、糖の吸収・代謝を促進するアミラーゼという酵素の働きを抑え、身体への余分な糖分の吸収を抑える効果があるとされ、血糖値の上昇や、糖尿病の発症予防・症状改善に役立つ可能性があることが報告されています。
紅茶ポリフェノール「テアフラビン」を豊富に含む紅茶には、上記で紹介して効果以外にも以下のような健康効果が期待されています。
テアフラビンには、身体を酸化させ、老化させる一因と言われている活性化酸素の除去・排出を促進する働きがあります。この作用から、テアフラビン豊富な紅茶を摂取することで、身体の老化を防止する効果が期待できるとされます。
高血圧、脳卒中、心臓病、糖尿病などの生活習慣病の一因は、血管や臓器の細胞が繰り返し傷つき、破壊されることで劣化し、機能低下することにあると言われています。
紅茶に含まれるテアフラビンには、細胞の酸化・劣化を防ぐ作用と、糖の吸収を抑制する作用が認められているため、代表的な生活習慣病の発症リスクを下げる効果があると考えられているのです。
上記の他にも、各種感染症の予防や、シミの原因となるメラニンの生成を抑制してくれる効果があるという報告もされています。
最後に、紅茶からテアフラビンを効率よく摂取するための飲み方や、いれ方のポイントについて解説していきます。
ミルクはテアフラビン等ポリフェノールの吸収を阻害するため、効率的にテアフラビンを摂取したいなら、ミルクティーは避けた方が良いでしょう。
テアフラビンの健康効果を最大限に得たいなら、砂糖などを何も入れないストレートティーとして紅茶を飲むのが最も効果的です。どうしても味に変化が欲しい場合は、ミルクではなくレモンティーを選んでください。
紅茶をおいしくいれるためのコツは、お湯の温度と蒸らし時間にあります。紅茶の色や香りが最もよく出るお湯の温度は95℃と言われているため、紅茶を入れるときは沸騰する寸前のお湯を用意すると良いでしょう。茶葉にお湯を注いだら3分ほど蒸らし、余計な渋みや苦みが出る前に茶葉を取り出してください。
また、軟水を使用し、お湯を注ぐ際に高い位置から注ぐようにすると、茶葉がよく動き、より良い風味や栄養成分が出やすくなりますよ。
抗酸化作用や抗菌・消毒作用など、テアフラビンは、さまざまな病気や感染症予防への有効性が認められている成分です。スーパーなどで安価で手に入りやすい紅茶やウーロン茶など、発酵茶に豊富に含まれていますので、テアフラビンの健康効果を得たい人は、継続的に紅茶を飲むようにしてみてください。