橋本病

2017/3/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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概要

橋本病は甲状腺の疾患です。甲状腺は首の前部、喉仏の真下にあり、体の健康ペースを調整したり代謝を制御するホルモンを作ります。代謝とは心拍数やカロリーの燃焼速度のことですが、橋本病にかかると免疫系が甲状腺を攻撃して腫れ、炎症を起こします。これが起こると、甲状腺はホルモンを作ることができません。

症状

橋本病にかかった人の多くは全く症状がありませんが、時間が経つにつれて進行します。その際の症状は甲状腺機能低下症(甲状腺機能不全症)と同様です。甲状腺への攻撃により、甲状腺からのホルモン産生が減少するために起きる症状です。

橋本病の症状には以下のものがあります。
・疲労
・異常に体重が増加する
・寒さに対する過度な反応
・筋肉の痛み、けいれん、こわばり
・関節の痛み、硬直、腫れ
・肌が青白く乾燥する
・顔が腫れぼったくなる
・かすれた声
・便秘
・(女性の場合)正常より生理が重い
・血中コレステロールの上昇
・うつ病
・目に見えるくらい甲状腺が拡大する
・もの忘れ

原因

橋本病は自己免疫疾患です。通常、免疫系によって産生される抗体は、ウイルス、細菌およびほかの異物から体を保護するのに役立ちますが、自己免疫疾患は、免疫系が体の組織や器官を攻撃する抗体を産生します。橋本病では抗体が甲状腺を攻撃します。

橋本病にかかりやすいのはどんな人?

橋本病はすべての年齢で発症の可能性がありますが、30~50歳の女性が最もかかりやすいです。また、家族の誰かが甲状腺疾患にかかっていると橋本病のリスクが高くなることがありますが、詳しい理由はわかっていません。

診断

血液検査でホルモンレベルを測定し、甲状腺が正常に機能しているかどうかチェックします。

治療

橋本病には治療法がありません。
しかし、低甲状腺機能を治療することで、長期的な影響を最小限に抑えることはできます。

症状を抑えるには、合成甲状腺ホルモンで治療します。この治療は、錠剤を毎日服用し、ホルモンのレベルを調節して代謝を正常に戻すという治療法です。また、この錠剤は低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを低下させ、体重増加を抑制するのに効果的で、甲状腺が作るホルモンを置き換えることもできます。

どのくらい薬を飲む必要があるかは、血液検査の結果によって決まります。実際、甲状腺ホルモン薬を服用しても問題のない人がほとんどです。症状を抑えるためには、薬を飲み、定期的な血液検査をして甲状腺の機能を確認することが欠かせません。

なお、薬やサプリメント、食品は合成甲状腺ホルモンを吸収する能力に影響することがあります。多量の大豆製品や高繊維食を食べている場合や、鉄サプリメント、カルシウムサプリメント、コレスチラミンや水酸化アルミニウム(一部の制酸薬に含まれています)などの薬を服用している場合は、医師に相談してください。

医師に相談するための質問

・橋本病の原因は何ですか?
・私の血液検査の結果はどうですか?
・最高の治療法は何ですか?薬が必要ですか?
・薬はどのくらい必要ですか?副作用はありますか?
・いつ症状を緩和することができますか?
・橋本病では、長期的な症状が起こりますか?

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