記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「インフルエンザ=高熱、頭痛、重度の風邪の症状」というイメージをお持ちの方は非常に多いですが、インフルエンザの種類によっては微熱に留まったり、下痢などの消化器症状がメインになることがあります。今回の記事では、そんなB型インフルエンザの症状や治療法、対処法などをご紹介します。
高熱や倦怠感、頭痛や関節痛のイメージが強いインフルエンザですが、感染するインフルエンザウイルスの型によっては、違った症状が出ることもあります。
インフルエンザは、ウイルスの型の違いによって流行時期や発症したときの症状、感染力の強さなどが異なり、例えば高熱や頭痛はA型インフルエンザに多い症状です。一方、下痢や腹痛、吐き気・嘔吐など消化器官への症状が出やすいとされているのは、2〜3月に流行する「B型インフルエンザウイルス」です。
B型インフルエンザウイルスに感染すると、下痢、腹痛、吐き気・嘔吐の他にも、37℃前後の微熱が続くのが特徴です。
高熱や頭痛などの症状はA型、下痢や腹痛はB型インフルエンザウイルスにそれぞれ多いと述べましたが、この判別方法は絶対ではありません。なぜなら、インフルエンザウイルスによって引き起こされる症状には、個人の年齢・性別・体質などによって個人差があるからです。一概に症状だけを見てウイルスの型を判別できるものではありませんので、決して自己判断せず、必ず医療機関で検査・診断を受けてください。
B型インフルエンザの治療には、他の型のインフルエンザと同様、飲み薬のタミフル®や吸入薬のリレンザ®・イナビル®など、抗インフルエンザ薬が使用されます。これら抗インフルエンザ薬は市販で購入することができず、症状によって処方される薬の種類も異なりますので、必ず医師の診断のもと処方してもらいましょう。
なお、抗インフルエンザ薬の効果をしっかり発揮させるには、発症から48時間以内の服用開始と、その後継続的に5日以上飲み続ける必要があるとされます。薬の服用が遅れたり、飲み忘れると薬の効き目が悪くなる可能性もありますので、医師からの用法・用量は必ず守り、何か疑問点があればすぐ相談するようにしましょう。
また、B型インフルエンザの完治までには発症から1週間ほどの期間が必要なので、医師の指示通り薬を服用しつつ安静に過ごして治療してください。
B型インフルエンザで起こりやすい下痢や腹痛の症状が、抗インフルエンザ薬の副作用や、インフルエンザワクチン接種の副反応によって引き起こされているケースもあります。
まず、抗インフルエンザ薬を服用した後に下痢や腹痛、嘔吐などの症状が出た場合は、抗インフルエンザ薬の副作用が強く疑われます。ただ基本的に、抗インフルエンザ薬は継続して飲み続けることで効果を発揮するため、耐えられないほどの重篤な症状でなければ、副作用が出ていても薬は飲み切った方が良いでしょう。しかし、症状がひどく脱水症状に陥るようなら、薬の服用を中止するケースもあります。決して自己判断せず、必ず医師に状況を説明のうえ、指示をもらってください。
一方、ワクチンの接種による腹痛、下痢、嘔吐は、予防接種を受けた人のうち1割程度の人に現れる副反応です。だいたい2〜3日で収まるものですが、症状が長引いたり、あまりにも辛いという場合は、こちらもすぐに医師に相談しましょう。
一般的に、インフルエンザウイルスが原因の症状は、発症から3〜4日程度で収まります。このため、治療しているにもかかわらず5日以上消化器官の不調が続くようであれば、インフルエンザ以外の感染症や、病気の可能性を疑うべきでしょう。
特に、ノロウイルスやロタウイルスなどによって引き起こされるウイルス性胃腸炎は、インフルエンザとよく似た腹痛と下痢の症状を起こすと言われています。症状が長期化し、おかしいと感じるようであれば、すぐに医師に状況を伝えて診断を受け、今後の対処を相談してください。
最後に、B型インフルエンザにかかった場合の療養中の過ごし方について、早い回復と感染拡大の防止に役立つポイントを4つご紹介します。
B型のインフルエンザによる下痢や嘔吐は、身体が体内からウイルスを出そうとしている証拠です。無理に我慢せず、自然に排出するのが回復の近道になります。
下痢や嘔吐で大量の水分を排出するため、B型インフルエンザでは特に水分不足や、脱水状態に陥るリスクも高くなります。飲めるものを、飲める量だけでもいいので、水分はこまめにしっかり補給しましょう。
入浴は、非常に体力を消耗します。ただでさえ、インフルエンザとの闘いで体力のない状態で入浴すると症状が悪化する可能性もありますので、お風呂は熱が37.5度以下になるまで我慢してください。
また、同居する家族への感染を防ぐため、お風呂は一番最後に入るようにしましょう。
B型のインフルエンザウイルスは発症から3〜7日間は体内に潜伏すると言われ、熱が下がっても、咳やくしゃみで排出されて感染を拡大させる恐れがあります。熱や下痢などの主症状がおさまっても、最低でも発症から1週間は自宅で安静にし、体力の回復と感染防止に努めるのが良いでしょう。
一般的にイメージする高熱などの症状はA型に多いですが、B型ではインフルエンザの症状として腹痛、下痢、嘔吐、微熱の症状が出るケースもあります。また、インフルエンザだと思っていても他の病気にかかっている可能性もあるので、自己判断での治療は禁物です。早期の治療が早い回復の秘訣ですので、疑わしい症状が出たらすぐに病院に行って検査と診断を受け、症状にあった治療法や治療薬の提案を受けてくださいね。