記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
フラフラとめまいや立ちくらみが起こる低血圧は、サプリで治るのでしょうか?低血圧の改善に必要な栄養素や効果的な対処法についてご紹介します。
低血圧を引き起こす主な原因は生活習慣にあり、食生活や生活習慣を見直し、規則正しい生活を過ごすようにすることで改善する場合があります。1日のどのタイミングに血圧が下がっているのかを見極めて、効率的に対処していくことが大切です。
まず、低血圧で朝がつらい人は、起きたらすぐに太陽の光を浴びるようにしましょう。
コップ1杯の水を飲んだり熱いシャワーを浴びたりするのもおすすめです。私たちの体は「交感神経」と「副交感神経」でオンとオフのバランスを取っているので、これらの習慣によってスイッチがオンになり、血圧をゆるやかにあげていくことが出来ます。
エネルギーが不足していると低血圧の症状が出やすくなるため、1日3回規則正しく食事を摂るように心がけてください。食後に低血圧になる人は、食事中に緑茶やコーヒーなどのカフェインを含むものを飲むと良いでしょう。
低血圧の人は血流が悪いので、ウォーキングなどの適度な有酸素運動で筋力を増強し、血流を良くすることも大切です。他にも、疲労を感じ始めたらしっかりと休養を取り、十分な睡眠をとるようにしてください。
低血圧は食事の摂りかたでも改善することが可能です。以下の栄養素を含む食材を積極的に摂り入れていきましょう。
筋肉を作る良質なたんぱく質・・・肉、魚、卵、牛乳、大豆など
たんぱく質の吸収を助けるビタミン類・・・豚肉、緑黄色野菜、果物、ナッツ類など
造血作用のあるミネラル類・・・海藻、魚介類など
自分でこれらの栄養素を食事で十分に摂れる自信のない人は、サプリメントで補うのも良いでしょう。
また、心臓のポンプ機能に大変効果的な栄養素にコエンザイムQ10と呼ばれるものがあります。これは心臓の収縮力を高めて全身にくまなく血液を循環させる、低血圧が改善しやすくなる重要な栄養素です。コエンザイムQ10は食べものから摂取するのが難しいのでサプリメントで補うことをおすすめします。
他にも、適度な塩分を摂ることや血圧をあげる効果が期待できるチラミンを多く含む食材を食べるのもおすすめです。ただし、塩分の摂取量は18歳以上の女性の場合、1日の塩分摂取量は7.0g未満、男性の場合は8.0g未満を推奨(厚生労働省による)としていますので、これを大きく上回らない程度に摂り入れてください。チラミンを含む食材には、チェダーチーズ、チョコレートなどのカカオ製品、発酵食品などがあげられます。食材とサプリを上手に使って低血圧を改善していきましょう。
貧血は主に鉄不足が原因で、血液中に含まれる赤血球やヘモグロビンが減少した状態にめまいや立ちくらみを起こすものです。WHO基準では、ヘモグロビン濃度が成人男性の場合13g/dl未満、成人女性は12g/dl未満の場合に貧血と診断されます。
一方、低血圧は全身に血液を送り出す心臓のポンプ機能が弱っている状態で、立ちくらみやめまい、全身の倦怠感などの症状を及ぼします。
心臓は収縮と拡張を繰り返しており、拡張期血圧は最低血圧と言われ、例えば血圧を測るときに表せられる「上は125mmHg、下は80mmHg」の「下」のことです。血液を送り出した心臓が収縮した状態から元に戻り、膨らむ時の血圧を指します。これに対し、「上」を収縮期血圧や最高血圧と呼び、心臓が収縮し血液を体全体に送り出すときの血圧を指します。この収縮期血圧が100mmHg以下、拡張期血圧が60mmHg以下の場合に低血圧と診断されます。
どちらも似た症状のため自己判別を行うことが難しいのですが、血液中のヘモグロビンの濃度を測定するとどちらが原因かすぐわかるので、症状がある場合には医師による診断を受けましょう。
低血圧は高血圧と違い、有効な薬物治療法が少ないです。血圧を上げる昇圧剤も存在しますが、朝だけ低血圧の人がいるなど、薬の調整が難しく、薬だけで症状が改善することはあまり期待できません。日々の生活を見直し継続していくことが、低血圧を改善する1番の方法といえるでしょう。