記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
小さな子供の感染率の高い手足口病は、どんな感染経路で感染するのでしょうか。治療法や予防法と併せて解説していきます。
手足口病は、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスなどに感染することで、さまざまな症状を発症する感染症の一種です。
感染経路には、大きく「飛沫感染」「接触感染」「糞口(経口)感染」の3つがあります。
ウイルスに感染した人のくしゃみや咳によって飛び散った唾液を吸い込んでしまうことにより、手足口病に感染してしまうパターンです。
ウイルスに感染した人に触れたり、キスしたりすることでウイルスの入った体液が付着し、手足口病に感染してしまうパターンです。
子供のおむつ替えなどの際にウイルスに感染した糞便などに触れてしまい、その手指を誤って口に入れるなどすることで、手足口病に感染するパターンです。
手足口病に感染すると、3〜5日ほどの潜伏期間を経て、以下のような症状を発症します。
・手のひら、足の裏と甲、口の中、背中などに2〜3mmの水ぶくれまたは赤い発疹ができる
・口のなかの発疹がつぶれて、たくさんの口内炎ができる
・急に38度前後まで発熱する
・(乳児の場合)よだれが増える、機嫌が悪くなる、下痢
これらの症状のうち複数が当てはまる場合は、手足口病を発症しているかもしれませんので、すぐに病院に行って診断を受けてください。上記の他、ごくまれにウイルスが髄膜にまで侵入して、脳炎や髄膜炎などの合併症を引き起こすケースもあります。
手足口病を根本治療する方法はないため、発疹による痛みやかゆみ、発熱などの辛い症状を抑えるための対症療法で治療していきます。具体的には、発疹の痛みや発熱を抑える解熱鎮痛薬を服用したり、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬などを発疹に塗って治療します。
これにあわせて、自宅で十分な栄養・水分を取りながら、安静に過ごすことが推奨されます。なお、自宅での療養と経過観察で自然治癒も見込める疾患ではありますが、合併症の可能性を考えると、医師による診断と薬の処方、療養のアドバイスを受けた方が良いでしょう。薬も、市販の解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン薬を使うよりも、症状と体質にあわせたものを処方してもらえるので、安全性が高いです。
手足口病の感染・発症を予防するためのワクチンなどはないため、発症の原因となるウイルス感染をできるだけ予防するのが、最も効果的な方法になります。
以下に、手足口病の原因ウイルスの感染予防のためにできる3つの対策をご紹介します。
接触感染と糞口感染の予防に、基本的な手洗い・うがい・消毒はとても効果的です。特に子供同士は気づかないうちにウイルスに接触して感染を拡げていることも多いので、1人でも感染が疑われる症状が出たら、大人も子供も石鹸での手洗いを徹底しましょう。
なお、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスは消毒剤への抵抗性が高いため、手指を消毒する際は次亜塩酸ナトリウムや消毒用エタノールが効果的と言われています。
ウイルスに感染した人の糞便からは、症状が治まった後も2〜4週間もの長期間にわたってウイルスが排出されていると言われています。
このため、糞口感染を避けるためにも感染・発症した子供の排泄物やおむつは速やかに処分し、処理の後は必ず石鹸と流水での手洗いを行ってください。
接触感染予防のため、タオルやおもちゃなど感染者との物品の共有は避けましょう。なお、家庭で兄弟間での感染拡大を予防したい場合には、お風呂は別々に入れる、トイレや洗面所の使用後に消毒などを行うと効果的です。
手足口病は、感染者とのさまざまな接触で感染する可能性があります。潜伏期間もあるため、感染者本人も周囲も気づかないうちに感染を拡げているケースも多く、完全に感染を予防するのは難しいと言えます。
ただし、基本的な手洗いや消毒など、日ごろからきちんとした感染症予防対策をしておくことで、ある程度予防することはできます。有効な予防対策を知っておき、感染者が出たときに慌てないようにしてください。