記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/15 記事改定日: 2019/6/18
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「糖尿病患者は太っている」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、糖尿病はある程度進行すると、体重減少が見られるようになります。
今回の記事では糖尿病と体重減少の関連性や、どれくらいのペースで痩せてしまうのかなどの特徴を紹介していきます。
糖尿病の人で血糖コントロールがうまくできてなく、インスリンの働きが低下している状態が続くと、食事から摂取した糖質をエネルギーとして取り込めなくなり、代わりに脂肪や筋肉を分解してエネルギーとして消費するようになります。
この状態になると、普通に食事をとっていても体重減少が起こるようになります。
とくにダイエットや運動をしておらず、ストレスもさほどないのに、体重が半年で5%以上減少している場合は、糖尿病の悪化の影響が考えられます。
また、半年に10%以上のペースで体重減少が見られる場合は、糖尿病だけでなく他の異変の可能性もあるため、早急に病院を受診してください。
また、基本的には体重が減少すれば血糖値は下がりますが、体重が減少しているのに血糖値が下がらないのは糖尿病のサインかもしれません。これは高血糖状態が続くために起きる現象で、多くの場合は喉の渇きや頻尿、多尿などの症状を伴います。
糖尿病になると、血中の糖分は尿となって体外へ排出されます。そしてエネルギー源として糖が吸収されなくなるため、脳は飢餓感を感じるようになり、喉が渇き、食欲が旺盛になります。
しかし、先述の通り脂肪や筋肉がエネルギーとして分解されていってしまうため、食べても体重は減少していく状態が続いてしまうのです。
糖尿病で太るのは比較的軽度の糖尿病での話であり、太っている間は体はエネルギーを吸収できています。もし食欲旺盛でたくさん食べているのに急激に痩せてしまったなら、糖尿病が回復しているのではなく、むしろ末期に差し掛かっている可能性があります。
糖尿病は発症初期に目立った自覚症状が生じにくく、発見が遅れがちな病気です。しかし、発症してしまうと徐々に全身の血管に動脈硬化が引き起こされ、様々な合併症を引き起こします。
とくに、重症化して末期の段階に至るといわゆる三大合併症呼ばれる「網膜症・腎症・神経障害」を発症し、失明や人工透析の導入、足切断などQOLの著しい低下を引き起こすリスクが高くなります。また、心筋梗塞や脳梗塞など生命に関わる病気の発症率が上昇することも分かっています。
このような状態になるとインスリンの自己注射が必要になるだけでなく、厳重な食事や運動制限が必要となり、通常の日常生活が送れなくなることもあります。
早期発見のために健康診断などは欠かさず受け、医師の指示に従い初期のうちから血糖コントロールを徹底するようにしましょう。
「食事をいくらとっても体重が減少する」「痩せていっているのに血糖値は高い」などの異変が見られる場合は、糖尿病が末期に差し掛かっている可能性があります。異様な食欲や喉の渇き、尿の異常も糖尿病の特徴なので、当てはまる方はすぐに病院を受診してください。