記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/4/20
記事監修医師
前田 裕斗 先生
カンジダ症は免疫力が低下したときや糖尿病などの病気を抱えている場合に発症しやすい病気ですが、妊娠中も発症しやすいといわれています。妊娠中にカンジダ症になってしまった場合、お腹の赤ちゃんに影響が及んでしまうのでしょうか。また、出産は普通分娩ではなく、帝王切開にしなければいけないのでしょうか。
妊娠中にカンジダ症になってしまっても、おなかの赤ちゃんに影響を及ぼすことはありません。
ただ、出産するときにカンジダ症が治っていないと、赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります。というのも、出産時にカンジダ腟炎を発症していると、赤ちゃんが産道を通るときにカンジダ菌に感染してしまうリスクがあるためです。このときにカンジダ菌に感染してしまうと、「鵞口瘡(がこうそう:赤ちゃんの口の中や股が白くなる症状)」や皮膚炎を発症したり、おむつかぶれがひどくなったりすることがあります。
妊娠していないとき、腟内は酸性に保たれているので、雑菌などが繁殖しづらい環境になっています。
しかし、妊娠するとホルモンバランスが崩れるため、腟内のバランスが崩れ、カンジダ菌が繁殖しやすい環境になるのです。特に、妊娠初期はつわりなどで体力が落ちているため、カンジダ症を発症しやすくなります。
妊娠中にカンジダ症を発症しても、出産のときまでに完治させれば赤ちゃんへの影響はありません。
また、出産までにカンジダ症を治療できなかったとしても、帝王切開ではなく、経腟分娩で出産することができます。
最近では市販薬でもカンジダの治療ができるようになってきていますが、市販薬の中には、妊娠中の女性の使用について安全性が完全に確立しているわけではないものもあるため注意が必要です。使用に迷った時は、産婦人科で相談してみましょう。
もし、妊娠中に外陰部に強いかゆみを感じたり、おりものの色や質が変わったりした場合は、まずは産婦人科で診てもらいましょう。
検査の結果、カンジダ症を発症していることがわかった場合、腟洗浄を行います。その上で、自然治癒を待つか、必要に応じて塗り薬や腟錠が処方されます。治療すれば、1~2週間ほどでカンジダ症は治るといわれています。
妊娠中にカンジダ症を発症しても、お腹の赤ちゃんに影響を及ぼすことはありません。しかし、出産時に治っていない場合は、赤ちゃんに感染して鵞口瘡などの症状が出る可能性があります。もし、カンジダ症の疑いがあるときはすぐに産婦人科へ行き、適切な治療を受けて早く治しましょう。