記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/9 記事改定日: 2019/12/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
水ぼうそうのウイルスが再活性化したときに起こる帯状疱疹は、周囲にうつることはあるのでしょうか。また、うつさないためにはどうすればいいのでしょうか。
帯状疱疹は、ピリピリと何かが刺すような痛みと、赤い斑点(はんてん)、小さな水ぶくれができる病気です。
帯状疱疹の原因は幼少時に感染することの多い「水ぼうそう」の原因ウイルスと同じです。このウイルスはヘルペスウイルスというグループのひとつで、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスといいます。
水ぼうそうを発症すると、水ぼうそうの症状が改善してもウイルスは体内に残っています。
最初の感染では、身体の中にウイルスを見張っている強い抗体ができるため、ウイルスは何十年も静かに過ごしていますが、加齢や疲れ、ストレスなど何かのきっかけで見張りがきかなくなるとウイルスが暴れだし、皮膚や神経で炎症を起こし帯状疱疹を引き起こします。
水ぼうそうにかかったことのある人なら、誰でも帯状疱疹になる可能性があるのです。
一般的には、50〜70歳代と中高年にみられる病気ですが、ストレスや疲労がきっかけとなって、若い人に発症することも決して珍しくはありません。
帯状疱疹は幼少時に水ぼうそうにかかった経験があり、体内にウイルスを持っている人にはうつりません。また、健康な大人に感染するということはほとんどありません。
しかし、これまで予防接種を打ったことがなく水ぼうそうにもなったことがない人は、帯状疱疹の患部で活発になっていたウイルスが身体に入り込むことで水ぼうそうを発症する可能性がないわけではありません。
帯状疱疹はジュクジュクした水っぽい水疱が多数できるのが特徴ですが、水ぼうそうの原因となるウイルスはこの水疱から漏れ出る液体の中に多く潜んでいます。周囲の人への感染を拡げる心配がなくなるのは、水疱が落ち着いた頃です。
それまでの間はタオルや寝具の共用は避け、患部はガーゼで覆うようにしましょう。
また、水ぼうそうは発症者の唾液などを介して他の人に感染を拡げることがありますが、帯状疱疹の場合は唾液にウイルスが含まれませんのでマスクの着用など一般的な感染対策は必要ありません。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、初めて感染する人においては、水ぼうそうとして発症します。
過去に水ぼうそうになっている人は特に感染のリスクはありませんが、まだ感染しておらず、予防接種も打っていないような小さな子供との接触はできるだけ避けるようにしましょう。
帯状疱疹が広がり、全身に症状があるときにはウイルスが増殖していると考えられます。軟膏をぬるときなど帯状疱疹の患部を触った後は必ず手洗いをしましょう。また、症状のある部分をガーゼで覆っておくことも感染予防になります。
さらに、帯状疱疹が疑われたら先延ばしにせず早期に受診をしましょう。症状が軽いうちに治療を開始し、十分な睡眠と栄養をとって早く回復をすることも、感染の予防に繋がります。
帯状疱疹は、水ぼうそう(みずぼうそう)と同じウイルスが原因です。帯状疱疹としての感染のリスクはありませんが、乳幼児には水ぼうそうとしてうつしてしまうこともあります。また皮膚症状が改善しても、神経の不快な痛みが後遺症として残存することもあります。症状が軽いうちに適切な治療を受けて早い回復を目指しましょう。