更年期の動悸にはどんな漢方薬が処方されるの?
2018/6/5
更年期障害によって動悸がひどい場合、どんな漢方薬が有効なのでしょうか?処方されることの多い漢方薬の種類や効能、その他の対策についてご紹介します。
更年期の動悸で処方される漢方薬は?
更年期障害とは、卵巣から分泌される女性ホルモンの一種「エストロゲン」の低下が原因で起こる、さまざまな症状の総称です。女性の身体が成熟期から老年期に移る40~50代くらいの女性の発症が多く、症状は人によって異なりますが、肉体的・精神的に辛い症状が幅広く現れます。
動悸、息切れをはじめとした更年期の代表的な症状の治療には、西洋医学での薬物療法の他、以下のような漢方薬による治療も行われています。
更年期の症状に処方される代表的な漢方薬
●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、手足の冷えなどの更年期症状に処方されます。比較的、体力のある人向けです。
●温清飲(うんせいいん)
皮膚がかさかさ乾燥している、顔色・肌の色つやが悪い、のぼせる、イライラするなどの更年期症状に処方されます。体力が中等度の人向けです。
●加味逍遥散(かみしょうようさん)
のぼせ、肩こり、疲れやすい、不安、イライラなどの更年期症状に処方されます。
体力が中等度以下、やや虚弱気味の人向けです。
●温経湯(うんけいとう)
手足のほてり、唇や口の中が乾く、不眠などの更年期症状に処方されます。
体力が中等度以下、やや虚弱気味の人向けです。
●五積散(ごしゃくさん)
身体の冷え、頭痛などの更年期症状に処方されます。
体力が中等度以下、やや虚弱気味の人向けです。
●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
身体の冷え、冷え性、貧血、疲れやすい、むくみなどの更年期症状に処方されます。
体力がない虚弱な人向けです。
漢方薬は西洋医学の薬に比べて、複数の症状に対して幅広く効くのが特徴です。一概に特定の薬が更年期症状に効くということではないので、医師に相談して個人の症状・体質・体格に合わせて、処方をしてもらうのが望ましいとされます。
更年期で動悸や息切れがするのはどうして?
更年期の代表的な症状に、激しい運動をしたわけでもないのに心臓の拍動が乱れ、呼吸が苦しくなる「動悸・息切れ」が挙げられます。
このような更年期症状による動悸・息切れは、エストロゲンの減少やホルモンバランスの乱れの影響を受けた、自律神経の失調が原因で起こります。ホルモンバランスと自律神経の働きは密接に関係しているため、急激にエストロゲンの分泌量が減り、ホルモンバランスが乱れると、自律神経が正しく働かなくなってしまうのです。
更年期の症状には動悸のほかにめまいや不安感も・・・
更年期の症状として、動悸・息切れに次いで発症しやすい症状には「めまい」や「不安感」などが挙げられます。
なお、更年期のめまいと不安感のどちらも、動悸・息切れと同様、急激なホルモンバランスの変化と自律神経の失調が主な原因で起こると考えられています。
更年期の動悸対策は?
最後に、漢方薬に頼らずにできる更年期の動悸・息切れ対策を4つご紹介します。簡単なものばかりですので、更年期症状の改善に役立ててください。
深呼吸
動悸と息切れが起きたとき、最も簡単ですぐにできる対策が深呼吸です。鼻から息をおなかの中に吸い込み、口で3秒以上かけてゆっくりと吐き出す腹式でゆっくりと深呼吸を行い、心拍と呼吸が整うのを待ちましょう。
なお、深呼吸にはリラックス効果もあるので、更年期による不安感の解消や、自律神経の調子を整える効果も期待できます。
アロマテラピー
深呼吸のときにアロマテラピーで使用されるオイルなどの香りをかぐと、リラックス効果が高まるので動悸・息切れの改善に効果的です。
おすすめは不安感を鎮めてくれるラベンダーの香りですが、自分が一番安心できる香りのオイルをハンカチなどに1滴たらして、持ち歩くと良いでしょう。
ツボ押し
手のひらと手首の横ジワの間、小指側の少しくぼんだところにある「神門(しんもん)」というツボは、リラックスと自律神経の調整に効果的とされます。
1回に付き3~5回、ゆっくりと深呼吸しながら親指で押し込むように、左右交互に行うと良いです。
鉄分、タウリンの摂取
一般的に動悸・息切れ症状の改善に効果的とされる、鉄分やタウリンを多く含む食品を、意識的に多く摂取するのもおすすめです。
貝類や魚類、鳥や豚のレバーなどに豊富に含まれています。
おわりに:更年期症状に処方される漢方薬は、人によって異なる
体質や体格によって症状の出方が大きくことなる更年期症状では、同じような動悸であっても、処方される漢方薬の種類は個人によって変わってきます。また、ひとくちに更年期症状と言っても、効果が期待される漢方薬の種類もさまざまです。更年期の動悸治療で漢方薬を使いたいときは、症状と体質から、自分に合った種類・組み合わせの漢方薬を処方してもらってくださいね。