更年期のイライラの原因と治療内容について

2024/12/25

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

「更年期になるとイライラしやすくなる」と言われますが、なぜ更年期だとイライラするのでしょうか?この記事では、更年期にイライラしやすくなる原因と治療方法、自分でてきる対処法について、男性の更年期にイライラの原因も含めて解説していきます。

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更年期にイライラする原因

更年期症状のイライラは、おもに女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が急激に減り、ホルモンバランスが乱れることに心身が影響を受けて起こります。エストロゲンには女性の身体的な健康を維持するだけでなく、気持ちを安定させる作用もあるといわれているため、不足するとイライラや感情を抑えられなくなってしまいます。

また、ホルモンバランスが変化して更年期症状が出る40~50代は、家庭や仕事のあらゆるシーンで周りから頼られることも増え、若い頃よりもストレスを受けやすくなります。更年期に日常的なストレス・緊張が加わることで、ホルモンバランスに加えて自律神経の働きにも乱れが出て、さらにイライラを加速させてしまう傾向もあります。

男性の更年期でもイライラは起こる?

女性のものとイメージされがちな「更年期によるイライラ」ですが、実は男性にも更年期症状の一種として、イライラなど精神的な症状が見られるケースがあります。男性の場合は、テストステロンという男性ホルモンの分泌量が低くなり、女性と同様にホルモンバランスが乱れることで、精神的に不安定になりやすくなると考えられています。テストステロンには、抗うつ効果のある一酸化窒素を作り出したり、ストレスを軽減する効果があるとされているため、この値が減るとイライラしやすくなってしまうといわれています。

更年期のイライラの治療内容

更年期のイライラは、適切な治療を行えば改善が可能です。具体的な更年期の治療法としては「ホルモン補充療法(HRT)」「抗うつ薬の服用」「漢方薬の服用」がメインになっていきます。以下に、更年期でおもに使用される薬についてまとめましたので、参考にしてください。

ホルモン補充療法

エストロゲンを主成分にしたホルモン剤を飲み薬や貼り薬で投与し、不足した女性ホルモンを補充することで精神状態を安定させ、症状の緩和を目指します。

抗うつ薬の服用

イライラがとくにひどい場合は、抗うつ薬、抗不安薬など向精神薬を服用することで、イライラや不安などの精神症状の早急な緩和を目指します。

漢方薬の服用

個人の体質・体格・体調に合わせ、漢方薬を組み合わせたものを服用し、心身の調和がとれるようにして症状の緩和を目指します。

更年期のイライラに自分でできる対策はある?

簡単に行える更年期のイライラ対策として、気持ちの安定やストレス緩和を促す栄養を含む食べものを摂ることが役立つ可能性があります。

カルシウムを含む食べもの

牛乳、チーズ、小魚類  など

ビタミンを含む食べもの

グレープフルーツ、イチゴ、キウイ  など

また、アロマテラピーには、イライラの緩和やリラックスを促すことが期待できます。ぬるめのお湯を入れたマグカップにアロマオイルを一滴垂らしたり、ハンカチに一滴オイルをしみこませておくだけでも、簡単なアロマテラピーが楽しめるので、試してみてもいいでしょう。イランイランやグレープフルーツ、ラベンダーなどを中心に、自分の好みにあわせて落ち着ける香りを使ってみてください。

ただし、イライラや不安などの精神症状が日常生活に支障をきたすほど辛い場合は、我慢せずに婦人科・心療内科・精神科などを受診しましょう。

おわりに:更年期には女性・男性のどちらにもイライラの症状がでることがある

更年期のおもな原因は「加齢によるホルモンバランスの変化」であるため、性別を問わず、更年期症状は誰にでも起こり得ますし、イライラ・不安などの精神症状は男女ともに起こりやすい更年期症状の一種ともいわれています。食べものやアロマテラピーなど、日常的な対策でも予防と症状の緩和が可能ですが、基本的には病院で治療を受けることをおすすめします。とくに症状が辛いときは、無理をせず、専門医に相談しましょう。

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