記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/1
記事監修医師
前田 裕斗 先生
子宮外妊娠(異所性妊娠)とは、子宮ではない場所に着床してしまうことであり、大量に出血すると母体の命に危険が及ぶことがあります。早期に適切な治療を施す必要がありますが、どのような兆候のときに子宮外妊娠を疑えばいいのでしょうか。
子宮外妊娠の症状や前兆の特徴について紹介します。早期に病院に行けるようにするための参考にしてください。
子宮外妊娠(異所性妊娠)とは、本来胎児を育てる場所である子宮ではなく、卵管や子宮頸管、卵巣、ときには腹膜や腸管などに受精卵が着床し、成長してしまうことです。伸縮性のある子宮ではなく、狭いところで受精卵が成長してしまうので、近くの器官が圧迫され、ときには破裂することもあります。そのときには下腹部に強い痛みがあるので、この痛みで子宮外妊娠を自覚するケースも多いといわれています。
子宮外妊娠の兆候としては、下腹部痛のほかに、出血やピンク色のおりものなども確認できます。ピンク色のおりものは、白っぽい通常のおりものに、血が混じった状態で出てくることもあります。わずかな出血やピンク色のおりものだけで、子宮外妊娠であると一概には言えませんが、どんな小さな変化や不安でも医師に伝えて診察を受けるようにしましょう。
最初はわずかな出血であっても、その少量の出血が長く続くと大量に血液が失われることもあります。突然痛みや出血が強くなる可能性もあり、激しい出血が続くと心拍数の増加、血圧低下などのショック状態になるため、母体が危険な状態になります。最悪の場合、命を失うこともあるので、我慢せずに診察を受けることが大切です。
子宮外妊娠をしていても、必ず出血があるとは限りません。体内で大出血が起こっていても、それが外に流れ出ずに、体内に溜まったままの状態になっていることもあります。しかし、放置してしまうと下腹部の痛みはさらに激しくなったり、失血により吐き気などの症状が起こったりすることもあるのです。ときには、立ち上がることもできず、意識がもうろうとしてしまうほどの痛みになるケースもあります。「出血がなければ安心」というわけではないことに注意してください。
妊娠の可能性が出てきたら、産婦人科の診察を受けましょう。このときの検査には、胎児と妊婦の命を守るという以外にも、子宮外妊娠でないかを確かめる目的もあるのです。
子宮外妊娠の兆候があらわれはじめるのは、6週目あたりくらいからとされていますが、これはこの頃であればエコー検査によって子宮内の胎嚢(たいのう)が確認できるからといわれています。胎嚢は、赤ちゃんを包んでいる袋のことで、これが子宮内に見えない場合、子宮外妊娠の可能性がでてきます。
診断では、安全な超音波を使った検査(エコー検査)が行われます。エコー検査には、腟の中にプローブ(探針)を入れて調べる経腟超音波検査と、腹部の上からプローブをあてる経腹超音波検査があり、妊娠初期の段階では、小さな胎嚢でも見つけやすい経腟超音波検査が行われることが多いです。
超音波で胎嚢が確認できなかった場合、採血で「hCG(human chorionic gonadotropin:ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモン値を測定します。hCGは妊娠10週目くらいまでは急増していきますが、子宮外妊娠や流産が疑われる場合、このホルモンの量が減少、または横ばいになる傾向があります。産婦人科では、これらの検査を医師の判断によって組み合わせながら、子宮外妊娠かどうかを診断します。
子宮外妊娠では、下腹部痛や出血以外の症状がでることがあり、吐き気や嘔吐・めまい・だるさなどの貧血に近い症状や、首や肩、腸の痛み、または片半身だけの痛みなどが現れることがあります。妊娠の可能性があり、これらの症状が出たときは早めに病院に行き、診断や適切な治療をうけてください。
子宮外妊娠が進行すると命を落とすことにもなりかねません。どんな小さなことであっても、心配な症状がある場合は医師に相談しましょう。
子宮外妊娠の場合、下腹部痛や出血、ピンク色のおりものなどの症状が現れます。また、それ以外でも、吐き気や嘔吐・めまい・だるさなどの貧血に近い症状や、首や肩、腸の痛み、または片側だけの痛みなどの症状が現れることもあるのです。妊娠の可能性があるうえで、これらの症状が出たときは早めに病院に行き、診断や適切な治療を受けましょう。