記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/3 記事改定日: 2019/12/13
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
「胸にしこりができて痛い!取れない!」という、授乳期間中にできる胸のしこりは本当に厄介なものですが、正しい予防方法を身に着けることで防ぐことができます。乳腺炎によるしこりのしこりの予防法と対処法を解説します。
乳腺炎で発熱しているときは、しこりに炎症が起きている可能性があります。体を温めると炎症を広げて悪化させてしまうため、しこりのある場所を冷やしましょう。
しこりを冷やすと、一時的に母乳の生産が止まるので痛みが和らぎます。
ただし、冷やし過ぎると母乳が生産されにくくなってしまう場合があるので、保冷材をガーゼやタオルに包むなどして冷やしすぎないようにしましょう。
乳腺炎でも熱がまだ出ていない状態であれば、お風呂で体をあたためて血行を良くすることで、乳管内の詰まりを解消できることがあります。
ただし、母乳の分泌をよくしても、実際に母乳を絞り出さなければ逆に痛みが増すこともありますから気をつけてください。
体を温めてから優しくマッサージをし、乳腺に溜まっている母乳を絞り出して、しこりを取り除きましょう。
上記でご紹介した「乳房を冷やす」「体を温めて乳房をマッサージする」を試してみて、それでもしこりが取れない場合は、乳腺炎が重症化しているおそれがあるので、早めに医療機関を受診しましょう。
医師の診断後、軽度の場合は助産師による乳房のしこりをほぐすマッサージを行います。乳腺炎のしこりの位置や状態によっては痛みを伴う場合もありますが、マッサージ後は、乳腺炎のしこりがなくなり母乳の出も良くなります。
自分でマッサージをしても効果が得られなかったという場合でも、プロの手による施術で症状が改善する可能性があります。
医療機関では、それぞれの乳腺炎のしこりの状態に合わせ、鎮痛剤や葛根湯などの授乳中でも服用可能な薬を処方してもらえます。
ただし、症状が重症化していたり、乳腺に細菌感染が起きている場合は抗生物質が処方されることもあり、服用してから一定期間は授乳ができなくなる場合もありますので注意しましょう。なるべく症状が重症化する前に病院に行くことが大切です。
乳腺炎が重症化すると、乳腺に細菌感染が起こり、膿が溜まり始めます。膿は母乳よりも詰まりやすいため、体外に排出することが出来ず、乳房内に溜まっていきます。このような状態になると病院で乳房を切開し、膿を出す処置が必要となることがあります。
このような状態にならないためにも、少しでも胸に違和感を感じたら我慢せずに病院へ行きましょう。
しこりは、乳腺に母乳が詰まることでできますが、乳腺に細菌が入って炎症を起こすまではしこりは痛みがでません。
この痛くないしこりは「乳溜(にゅうりゅう)」と呼ばれ、乳腺内に飲み残された母乳が溜まることによってできます。この乳溜は、突然できたり、消えたり、大きさが変化したりするのが特徴で、卒乳後は体内に吸収されて消えるので過度な心配は必要はありません。
しかし、まれに痛くないしこりが実は乳がんだったというケースもあるので、気になることがあれば医師の診断を受けましょう。
なお、乳溜が乳がんに変わることはないので、病院に行って乳溜があると診断されても慌てないようにしましょう。
乳腺炎の最も大きな原因は、母乳つまりです。
このため、乳腺炎を予防するには次のような対策が必要となります。
乳腺炎になると、しこりが痛くて授乳が困難になったり、しこりの部分が熱を持つことにより発熱するなどの症状に悩まされます。マッサージなど、自分でやってもうまくできない場合は、助産師などのプロや医師に診てもらうようにしましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。