記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/20
記事監修医師
前田 裕斗 先生
ヘルペスという病気のやっかいなところは、しばしば再発を繰り返すことで、何らかの刺激があると再びウイルスが暴れ出します。ただ再発時の症状は多くの場合、初感染のときよりは軽いとされていますが、それは本当なのでしょうか?ヘルペスの再発時の症状や治療法について解説します。
再発時の性器ヘルペスでは、初めて感染したときと比べて症状は軽く、患部の痛みも強くありません。再発時に病変が現れる部位は、初発時とほぼ同じですが範囲は狭いことが多く、性器やお尻、太もも周辺に、小さい水ぶくれや潰瘍が数か所できる程度になります。
また、発熱などの全身性の症状が現れることも稀であり、鼠経リンパ節の腫れが見られることもあまりありません。ほとんどの場合は1週間以内に自然治癒するとされていますが、免疫力が低下しているときには症状が重くなりやすいので注意が必要です。
このように、再発時に症状が軽くなる理由は、一度感染したことにより免疫機能が働くためと考えられています。また、再発が起きる前には、前兆的な症状が見られることがあり、外陰部の違和感や、太ももから脚部にかけてのズキズキとした神経痛などが起こる可能性があります。
再発時の性器ヘルペスでは、バルトレックス®といった内服薬もしくはゾビラックス®軟膏などの塗り薬を使った治療を行います。初発時と比べると症状が軽いので、放置しても概ね1週間以内に治癒しますが、抗ウイルス薬を服用することで、症状を最小限に抑え、治癒期間を早めることができます(服用期間は、3~5日間ほど)。
薬の服用は早ければ早いほど効果があり、逆に遅れると効果を得にくくなります。発症してから6時間ほどで薬の抑制率はおよそ20%に低下するとされており、発症後24時間を経過してしまうと有意な効果を得ることは難しくなるのです。
症状が軽く、病変も小さい場合には、塗り薬タイプの抗ウイルス薬だけで治療が行われることもありますが、内服薬と違って、治癒を早める効果はないとされています。
ヘルペスの再発を抑える治療法として、再発抑制療法があります。再発抑制療法は2006年に国内で承認されたもので、性器ヘルペスの症状が出ていなくても、毎日服薬を続けることで再発を予防するという治療法です。
再発抑制療法は治療期間中の再発予防効果だけでなく、治療期間終了後の再発予防にも効果が得られます。また、日本では2006年9月にバラシクロビル(バルトレックス®)を使った再発抑制療法が健康保険で行えるようになりましたが、それには以下の条件を満たしている必要があります。
また、再発抑制療法にあたっては、以下の点に注意が必要です。
ヘルペスの再発は、体の奥に潜んでいたヘルペスウイルスが暴れ出したことが原因なので、他人からうつったことが原因ではありません。大抵は、疲れや発熱といった体調不良や、ストレスによる精神的な影響などが原因で再発します。女性は月経前に再発することが多いようです。再発を繰り返している人はまず、「自分はどんなときにヘルペスの再発が起きるのか?」を明らかにしましょう。