記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/8 記事改定日: 2019/2/26
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ズキンズキンと脈打つような頭痛が出るのが特徴の片頭痛ですが、人によっては吐き気や腹痛・下痢をもよおすこともあります。
今回は、片頭痛の症状のひとつとして引き起こされる吐き気・腹痛・下痢について、その原因やメカニズム、対処法まで解説していきます。
あわせて、片頭痛でかかるべき病院の診療科目も紹介しているので、参考にしてくださいね。
片頭痛は、頭部の太い血管が何らかの原因で拡張し、これによって頭部から顎・首にかけて広がる太い神経「三叉(さんさ)神経」が刺激されることが原因で起こるとされています。
三叉神経が刺激されると、神経ペプチドと呼ばれる痛みの原因物質が分泌され、血管の周りに炎症が広がり、これが脳に伝わることによって「頭痛」と認識してしまうのです。
さらに、脳が神経ペプチドと血管周辺の炎症を認識すると、血管の拡張と炎症が増進され、今度は刺激が脳に伝わる過程で、中枢神経の1つである嘔吐中枢にも届き、吐き気が起きると考えられています。
片頭痛を引き起こしている原因がセロトニンだった場合には、片頭痛によって吐き気以外に下痢・腹痛が起きる可能性も十分にあります。
セロトニンは血液中の血小板からも放出されますが、血小板に含まれる血液中のセロトニンは脳へ流入することはないと考えられています。肩こりや持続的なストレスなどによってセロトニンの分泌されて血液中のセロトニン濃度を高まると、血管の収縮が起こります。
血管が収縮した後、身体は血中のセロトニン濃度をもとに戻そうとして急激に代謝させるため、血中のセロトニン濃度が急低下し、片頭痛の原因となる血管の拡張が起こります。
片頭痛を引き起こしながら、代謝のために消化器官である腸に向かったセロトニンは腸の蠕動運動を過敏にしてしまい、片頭痛の後に腹痛・下痢を招いてしまうことがあると考えられています。
片頭痛によって、頭痛や吐き気、下痢・腹痛などの症状が続いて、日常生活に支障をきたすほど辛い場合は、病院に行って医師の診断を受けるべきです。
頭痛で病院、というと大げさに感じるかもしれませんが、動けなくなるほど重篤な片頭痛の症状の裏には、重大な病気が潜んでいる可能性もあります。
「体質だから」と軽く考えずに、診てもらえる病院を探してみましょう。
ただし、原因がはっきりしない慢性的な頭痛は、一般内科での対応は難しいと言われています。
病院にかかるなら、頭痛患者を専門的に診てくれる「頭痛外来」や、脳や周辺の血管・神経を専門に診る「神経内科」もしくは「脳神経外科」を受診することをおすすめします。
片頭痛の症状がひどくて病院に行きたくても症状が深刻で動けず、病院に行くこともできないようなときのために覚えておいてほしい、片頭痛の対処法をいくつかご紹介します。
簡単に、家のなかでできることばかりですので、いざというときのために心得ておきましょう。
片頭痛で吐き気がある場合には、頭痛を抑える薬とともに吐き気を抑制する作用のある薬が使用されることがあります。
医師から処方される吐き気止めとしてはナウゼリン®やプリンペラン®などが代表的で、胃腸の働きを活発にして胃内容物を減らすことによる吐き気軽減効果があります。
一方、市販薬では、キャベジンコーワ®やアネロン®など食べすぎによる吐き気や乗り物酔いのための薬に効果があることもあります。しかし、市販の薬は効果に個人差があり、処方薬であっても胃腸が活発に動きすぎることで腹痛や下痢などの症状が生じる場合もあります。
片頭痛による吐き気が強い場合は、安易に自己判断で市販薬などを使用せず、医師に相談して医師の指導に合わせた薬を服用するようにしましょう。
ただでさえ、頭痛症状が辛い片頭痛ですが、人によっては片頭痛に付随して吐き気や下痢・腹痛など消化器官への症状が出る場合もあります。痛みに加えて吐き気と下痢となると、家から出て仕事に行くなど、日常生活を送ることも困難になってしまいますよね。
このような重篤な症状が続く場合は、無理せずに頭痛外来・神経内科・脳神経外科などの病院を受診し、医師による治療やサポートを受けてくださいね。