記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
突然激痛におそわれる痛風ですが、病院ではどんな治療が行われるのでしょうか?また、どんな薬が使用されるのでしょうか?
この記事では、痛風の薬や治療法について解説していきます。
痛風になったときに病院でどんな治療をするか知りたい人は参考にしてください。
痛風発作の時に使用される薬に「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」があり、これを短期間に大量に投与する方法を「NSAIDパルス療法」と呼びます。NSAIDsとは、炎症を抑える薬の総称で、インドメタシン、ナプロキセン、オキサプロジン、プラノプラフェンなどの薬が含まれています。
NSAIDsパルス療法は症状に合わせた細かな対応が必要とされますが、この治療法によって痛風発作の大半が軽快するといわれています。ただし、NSAIDsの薬の中には腎臓の血流を低下させる働きを持つものがあるため、腎障害を合併している人の場合には、腎臓への影響が少ないNSAIDsか、NSAIDs以外の薬を用いる場合があります。
副腎皮質ステロイドには、強い抗炎症作用があります。
腎障害がある場合や、NSAIDsが効かない場合や複数の関節で痛風発作を起こしている場合には、副腎皮質ステロイドが使われることがあります。また、ワルファリンカリウムを使っている人の場合も、薬剤の飲み合わせを考えて副腎皮質ステロイドが使用されます。
また、患部に水腫(組織内に液体がたまった状態)がある場合は、関節に針を刺して液体を除去した後に副腎皮質ステロイドを注入する場合がありますが、これらの治療方針は全て専門医の総合的な判断によって進められます。
薬を飲み始めた頃には、痛風リスクが上がる可能性があるため、3~6カ月の時間をかけて徐々に用量を増やし、尿酸値を下げていく方法がとられます。
過去に痛風を経験したことがある人は、2回目以降に発作の前兆を感じる場合があります。足がピリピリする、ジンジンするなどの違和感を感じるなどの症状があるときには、コルヒチンが使用されることがあります。
痛風による発作は関節に沈着している尿酸塩結晶を白血球が攻撃することで発症しますが、コルヒチンには、この白血球が関節に集まるのを防ぐ働きがあります。発作の予防や、発作のごく初期に服用することで症状を軽くする効果が期待でき、イヌサフランという植物の種子から作られています。
以前に痛風発作を起こした人が、前兆を感じた時にコルヒチンを1錠(0.5mg)服用することで、症状を抑えられる可能性があると考えられています。
フェブリク®とは、尿酸を減らす効果のある尿酸降下薬で、痛風や高尿酸血症に用いられます。また、がんの化学療法として高尿酸血症にも使用されることがあります。
主な成分である、フェブキソスタットは、尿酸を生成するキサンチンオキシダーゼという酵素の働きを阻害することで、尿酸値を下げる効果があります。
また、尿酸値を下げる効果は、アロプリノールという同様の効果を持つ薬よりも、効果が強いとされています。
アルコールとフェブリク®の併用は禁止されてはいませんが、基本的には控えた方がいいでしょう。飲酒に関しては必ず事前に医師や薬剤師に相談しておきましょう。また、フェブリク®と併用してはいけない薬として、メルカプトプリン水和物(ロイケリン)、アザチオプリン(イムラン、アザニン)があります。これらの薬は副作用を強める可能性があるため、絶対に併用しないでください。
痛風の発作で処方される薬は、その人の症状や病歴により異なります。発作時に使用される薬や、2度目以降の発作のある人に使用されるものなど、さまざまです。医師の指示に従って服用をするようにしましょう。