記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/23 記事改定日: 2018/8/6
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
自分の容姿に強いコンプレックスを持っていて、そのことに悩んでしまい仕事や学校で安心して過ごせないというは、身体醜形障害(BDD)かもしれません。
この記事では、身体醜形障害症状や原因、治療法などについて解説していきます。セルフチェックリストもあるので、早期治療のきっかけにしてください。
身体醜形障害(BDD)は不安障害の一種です。自分の見た目について極度のこだわりがあり、外見についての考え事に多くの時間を費やすようになります。
自惚れが強かったり自己中心的というわけではなく、実際にはほとんど目立たない傷跡が、ほかの人にじろじろ見られるほどの大きな傷であると思い込んでしまったり、鼻の形がおかしいと思い込んでしまうのです。
ほかの人から「全然普通だよ」「考えすぎじゃない?」と言われても、「自分は醜い。周りもそう思っているに違いない」と思い込み、コンプレックスがなくなることはないため、日常生活にも大きく影響します。
身体醜形障害の正確な発症確率はわかりませんが、男性でも女性でも同じくらいの割合で発症するとされていて、一番外見に敏感になりやすい思春期や成人期の初期に現れ始めることが多いといわれています。
なお、うつ病や対人恐怖症の経験がある人もかかりやすい傾向があります。身体醜形障害は強迫神経症(OCD)や全般性不安障害と併発することが多く、拒食症や過食症などの摂食障害と併発することもあります。
身体醜形障害は仕事、社会生活、人間関係など日常生活にも深刻な影響を与えることがあります。
身体醜形障害の人には以下のような特徴があります。
また、BDDはうつ病、自傷行為、さらには自殺願望につながることもあります。
なお、身体醜形障害と強迫神経症は似ている部分があり、どちらも、髪をとかす、化粧をする、指で肌をいじるなどの特定の行為を繰り返すという特徴があります。
身体醜形障害の原因はわかっていませんが、以下のことが関連していると考えられています。
身体醜形障害の多くは、適切な治療で改善するといわれています。
症状が軽い場合は、認知行動療法(CBT)をすすめられるケースが一般的です。
より深刻な場合は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる治療と認知行動療法を平行して行うことがあります。
CBTは、考え方や行動を変えることで症状を軽くしていく治療法です。
「容姿をチェックしすぎるのをやめる」など、セラピストに与えられた目標を達成するために患者自身が行動していきます。
CBTの優れた点は、「段階的な公開と反応の予防(ERP)」にあるといわれています。自分の容姿について過度に考える状況に向き合うことで、徐々に自分の容姿にも向き合えるようになるのです。
また、治療の一環としてグループワークへの参加などをする場合もあります。
SSRIは抗うつ剤の一種で、セロトニン(情報伝達をする脳内の化学物質)の分泌量を増やす薬です。SSRIにはさまざまな種類がありますが、身体醜形障害の人の多くはフルオキセチンが処方されます。
SSRIは毎日飲む必要があり、効果が出るまで3ヵ月かかることもあります。もし効果があった場合は、更なる回復と再発を防ぐために、最低1年間は服用し続けることになるでしょう。
治療が終わり症状がなくなったら、離脱症状が出ないよう徐々にSSRIの服薬量を減らしていきます。
SSRIの主な副作用は
などがあります。
ただし、ほとんどは一時的なものであり通常は数週間程度で治まります。
なお、治療を始めたばかりの頃は自殺願望や自傷の恐れがあるため、30歳未満の成人は服用の際に監視が必要です。
SSRIを服用しても症状が改善しない場合は、クロミプラミンと呼ばれる違う種類の抗うつ剤を処方されることがあります。
身体醜形障害は長期的な治療が必要な病気です。
身体醜形障害の人は、恥ずかしさからか病院での治療やサポートを拒否する傾向がありますが、放っておいても回復することは少なく、状態がかえって悪くなってしまうことも少なくありません。
下記のチェックリストで、自分が身体醜形障害の可能性があるかチェックしてみましょう。そして、身体醜形障害の可能性がある場合は、早めに専門の医療機関に相談してください。
自身の外見に対するコンプレックスは程度の差こそあれ、誰もが抱いているものです。「自分は完璧な容姿だ」と思っている人の方が稀でしょう。
しかし、これらのコンプレックスが全て身体醜形障害の原因となるわけではなく、明らかに病的な場合を身体醜形障害と診断します。次のような行動や考えが多くあてはまる人はその可能性が高いですので、一度専門の医療機関でご相談されることをおすすめでぃます。
容姿のコンプレックスが一時的なものではなく、日常生活にも影響を及ぼすレベルの場合は「身体醜形障害(BDD)」の可能性があります。身体醜形障害(BDD)はほかの病気と同じく治療が必要であり、適切な治療で改善することが多いです。
まずは自分の状態をチェックして、疑わしい場合は早めに専門医を受診しましょう。