記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「ADHDは脳の病気だ」「ADHDは親の育て方の問題だ」どちらも聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。しかし、実際のところADHDの発症の原因は何なのでしょうか?ADHDが発症する原因や検査方法について解説していきます。
ADHD(注意欠如多動症)は、不注意・多動性・衝動性の3つの症状が見られる発達障害です。実年齢に相反する行動や言動が原因となり、コミュニケーションや社会生活などに支障をきたす場合があります。子供の20人に1人、成人の40人に1人の割合でADHDが発症するとされており、大人になってから初めて症状が表に現れることもあります。
ADHDの人の脳は、注意力や行動などの調整を司る「尾状核」や、注意力・判断力・衝動の抑制を司る「前頭葉」が一般的な大きさと比較すると小さいとされています。また、ADHDの人は五感からの刺激に敏感になりやすいのですが、それも前頭葉の働きが弱いからだとされています。
まや、ADHDの子供の脳波は、同年代の子供に比べて幼い波形を示し、脳の形成が未成熟であるといわれています。そのほか、ADHDの人の脳血流量は一般の人よりも少なく、そのことが一部の脳領域に活動低下を起こしている可能性があるといわれています。
ADHDについてあまりよく知らない人の中には、「親の育て方に問題がある」「性格に難があるせい」と考えている人もいるかもしれませんが、ADHDは育て方や性格が原因で発症するわけではありません。脳の微細な損傷や、その他の脳機能の障害により生じる病気と考えられています。
ADHDの人の脳内では、ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きが不足しているとされており、神経伝達物質が不足すると、不注意や多動性が起こるといわれています。
そのため、これらの神経伝達物質の活性を変化させる薬を使用することで、症状が改善される可能性があります。
ADHDの診断では、面接や行動観察の他に、行動評価テスト、心理発達検査などを行い、さらに精神的・心理的な経過、生育歴、既住歴、家族歴などを判断材料に加えて、総合的に診断結果が出されます。ただし、診断に必要な情報が不足していたり、二次障害や併存症がある場合は、一度下された診断結果が変えられたり、ADHDと診断されるまでに時間を要することがあります。
ADHDは脳機能の障害が原因となっている可能性が高く、親の育て方が原因となり発症するわけではありません。また、ADHDの診断をするには様々な種類の検査を受ける必要がありますが、診断結果が出ることで今後のの対策や進むべき方向などを決めることができます。心当たりのある症状がある場合には、専門医の診断を受けましょう。