記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
パーキンソン病の治療では、病気の進行を抑え症状を緩和するための服薬と並行して、リハビリテーションが行われる場合があります。
今回はパーキンソン病のリハビリ治療について、リハビリによって期待される効果や、自宅で行えるおすすめの運動や体操などを、まとめてご紹介します。
パーキンソン病におけるリハビリ治療は、病気の進行によって自力での運動や、日常動作を行えなくなることを防ぐ目的で行われます。
以下に、パーキンソン病のリハビリ治療で行われる一般的な訓練方法と、それぞれの効果をまとめました。
病気によって関節がかたまり、動かせなくなることを防ぐために、手足を中心に身体の関節の可動域を維持したり、広げるために行う訓練です。
歩行や日常の動作を行いやすくなる効果が期待できます。
パーキンソン病の代表的な症状である姿勢反障害による転倒を防ぐため、起立や自力歩行に必要なバランス感覚を養う訓練です。
立ち眩みや歩行による転倒、また転倒によるケガの防止効果が期待できます。
パーキンソン病であっても歩行や日常動作をできるだけ自力で行えるよう、足の振り出しや、食事・トイレなど日常で頻出する動作を訓練します。
自力で生活できるようにすることで、患者のQOLの向上が期待できます。
自分の意思で歩くことができる場合は、毎日20~30分を目安にウォーキングを行うと良いでしょう。
ただし、パーキンソン病は症状が進行すると手足の振り幅が小さくなり、姿勢も前かがみになってつま先から着地するようになるため、歩くだけでも転倒しやすくなります。
安全のため、そしてより高いリハビリ効果を得るためにも、ウォーキングを行う際は意識的に手足を大きく振り出し、かかとから着地できるように意識して歩くのがおすすめです。
また、ある程度パーキンソン病が進行していて、なかなか足を踏み出せない「すくみ足」の症状がある場合は、声に出してリズムを取って歩くと効果的です。
「1・2、1・2」と声に出すことで脳が歩くリズムを認識しやすくなり、運動機能が補われてリハビリを進めやすくなりますので、実践してみましょう。
また、歩けなくても音楽を聴きながらリズムを取ったり、リズムにあわせて身体を動かす訓練を続けるだけでも、リハビリ効果が期待できるといわれています。
ここからは、全身の体力と筋力の低下を防ぎ、関節を柔らかくして可動域を維持するためのリハビリとして効果的な「パーキンソン体操」のやり方を、「部位ごと」「全身」で行うものの2つに分けてご紹介していきます。
パーキンソン体操は、いずれも身体の関節・筋肉のこわばりをほぐし、可動域を拡げて血流も促してくれます。ウォーキングなどの運動とあわせて行うとより効果的といわれているので、積極的に取り入れていきましょう。
パーキンソン病では、ここまでで紹介した身体の機能維持のためのリハビリに加えて、発声・発語のためのリハビリを行うケースもあります。
これは、病気の進行によって声が小さくなったり、言葉が出づらくなることを改善するために、身体の動きにあわせて意識的に大きな声を出すトレーニングです。
ただし、パーキンソン病の治療として実施されるリハビリの種類や程度は、進行度合いや病院や医師の方針によっても異なりますので、詳しくは担当の医師に確認しましょう。
投薬と並んで、リハビリはパーキンソン病治療に欠かせない重要な要素です。適度な運動は関節と筋肉の衰えを防止し、病気と症状の進行を遅らせてくれます。パーキンソン病では、自分の認識よりも早く症状が進行し、気が付けば動きが鈍くなり、動けなくなってしまうことも少なくありません。できるだけ長く自力で動ける状態を維持するためにも、積極的にリハビリに取り組むようにしましょう。