記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
冬に感染・流行しやすいイメージのあるノロウイルスですが、夏にも感染してしまうことがあるのでしょうか?以降では、夏にノロウイルスに感染する可能性についてご紹介していきます。またあわせて、夏にノロウイルスにかからないために予防法や、特有の症状などについても解説しています。
年間のノロウイルス感染患者のうちの約7割が11~2月に集中して発生していることから、ノロウイルスが最も流行しやすいシーズンは冬と考えられています。一方、夏にはノロウイルス以外の食中毒の感染が多く、ノロウイルスの感染例は少ない傾向にありますが、夏にまったくノロウイルス感染の危険が起きないわけではありません。
ノロウイルスに感染するリスクは年間を通して存在しているので、予防は必要です。夏も冬と同様、基本的なノロウイルスの感染予防は引き続き行うべきでしょう。
感染の少ない夏でも、ノロウイルスに感染した場合に気付くことができるよう、あらためてノロウイルスの症状について確認しておきましょう。
体内に入ったノロウイルスは小腸の上皮細胞で増殖し、12~48時間の潜伏期間中に小腸の運動神経を低下・麻痺させて、以下のような代表的な症状を引き起こします。
これらの症状は短くとも1~2日程度、長いと1週間近くにわたって続きますが、ほとんどの場合は後遺症などが残ることもなく、ウイルスが排出されれば回復できます。ただし、急性胃腸炎や食中毒の症状に似ているため、夏に感染すると判断が難しい側面もあります。
最後に、夏にも心がけたいノロウイルスの感染を予防する方法をご紹介します。
まずは、他の感染症予防と同様、徹底した手洗い・うがいにより、ウイルスが体内に入らないようにするのが最も効果的です。特に外出先から戻った直後、トイレの後、調理や料理の盛り付け前には、指先や爪の間、手首や手の甲など汚れの残りやすいところまで、しっかりと石鹸で手洗いしてください。
また、調理する食材や調理器具の管理にも注意が必要です。特に海水中でノロウイルスを蓄積しやすいカキなどの二枚貝は、ノロウイルスの温床になりやすいです。二枚貝は季節にかかわらず生食は極力避け、ウイルスが死滅する85℃以上の温度で1分以上加熱して、殺菌してから食べることを徹底してください。
また、生の食材を調理する包丁やまな板などの調理器具は、食材が変わるごとに洗剤などで十分に洗浄し、熱湯で加熱消毒するとノロウイルスの感染予防に効果的です。
11~2月の冬季に流行のシーズンを迎えるノロウイルスですが、夏にも感染するリスクはあります。ただし、夏は他の食中毒にかかりやすくなるため、ノロウイルスに感染・発症しても症状での見分けが難しいケースも多いです。季節を問わず予防対策を継続的に実践して、夏の感染も防げるようにしてください。