記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
30〜40代のやせ型の女性に多く見られる、「メニエール病」という病気をご存知でしょうか?今回はメニエール病という病気について、代表的な症状、頭痛の関係性、また発症のメカニズムや治療の方法まで、わかりやすくご紹介していきます。
メニエール病とは、主に以下のような症状の出る耳鼻科系の疾患のことです。
上記のうち、特にめまいの症状は立っていられないほど重篤になりやすいことで知られ、突発性の難聴と耳鳴りを伴い、長いときには数時間にわたって続く場合があります。
なお、めまいの発作が治まると難聴や耳鳴りの症状も治まりますが、このような発作を繰り返すたびに、少しずつ難聴の症状が悪化していくのも大きな特徴です。
発症者は30~40代、やせ型で几帳面、ストレスを感じやすい女性が多いとされています。過度のストレスや肉体疲労、自律神経の乱れなどが引き金となって発症するケースが多く、初期で症状が軽いうちから治療を開始するのが望ましいとされる病気です。
前項でご紹介した代表的な症状に加え、メニエール病の症状のひとつとして、頭痛が出ることもあります。
メニエール病で頭痛を発症する場合、頭重感や頭を押さえつけられるような圧迫感を伴う強い痛みが出るのが特徴で、一般的な片頭痛に近い痛み方になります。このため、片頭痛と区別して診断するのが難しく、突発性の片頭痛にめまいや難聴を伴っているケースにおいて、メニエール病だと判明する場合も多いです。
ただし、頭痛とめまいの発作が72時間以上継続している場合は、メニエール病ではなく、片頭痛が原因のめまいであると診断されるのが一般的です。
なお、めまいとともに強烈な頭痛に見舞われたときは一刻を争う事態も想定されますので、誰かに付き添ってもらって、すぐに病院に行くようにしてください。
メニエール病の原因は、内耳(ないじ)と呼ばれる耳の中にリンパ液がたまって水膨れになってしまう「内リンパ水腫」です。内耳には聴力を司る「蝸牛(かぎゅう)」と平衡感覚を司る「三半規管」などの器官がありますが、これらが水膨れを起こすことで、メニエール病の代表的な症状が起こるとされます。
症状の出方や程度は水膨れの箇所・程度によって左右され、蝸牛に水膨れが起こっていれば難聴や耳鳴り、三半規管に出ていればめまいの症状がそれぞれ出ることになります。上記それぞれの症状が強ければ強いほど、各器官の水膨れがひどくなります。
また、メニエール病の原因となる内リンパ水腫は、ストレスや睡眠不足による肉体的・精神的負担や気圧の変化、神経質な性格などが影響して引き起こされると考えられています。
メニエール病の治療は、薬の服用で症状を抑える対症療法、または生活習慣を変えることによる環境改善がメインになります。
投薬での対症療法、生活の環境改善では、それぞれ以下のような治療法を行います。
なお、上記の投薬・生活改善の治療でもあまり効果が得られず、発作の頻度や重症度が増してしまう場合には、外科手術を行うことも検討されます。代表的な手術法には、内耳に溜まったリンパ液を取り除くことでめまいや難聴の改善を目指す「内リンパ嚢開放術」などがあります。ただし、手術には一定期間の入院が必要なうえ、効果も永続的なものではないという点には注意が必要です。
メニエール病は耳のなかの聴力や平衡感覚を司る器官に異常が出て、めまいや難聴などの症状が出ることで知られる病気です。しかし、人によっては症状の一環として頭痛が出るケースもあります。頭重感や、頭が押さえつけられるような痛みなど、片頭痛に近い痛みがめまいや難聴の症状と一緒に出るのが特徴です。疑わしい頭痛を感じたら、すぐに耳鼻科を受診してください。