記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
乾癬治療に使われる薬にはどのようなものがあるのでしょうか?また副作用などはあるのでしょうか?乾癬の薬の効果や副作用について解説していきます。
乾癬の治療は大きく分けて局所療法と全身療法の2つに分けられます。局所療法は外用薬を使った外用療法が主な治療です。全身療法には、紫外線療法、内服療法、生物学的製剤による注射療法などがあります。以下、各治療について解説をしていきます。
皮疹に直接塗る薬です。
症状が中程度~重症の人に使用されます。
生物学的製剤は、免疫細胞の情報伝達時に使用される「サイトカイン」の効果を弱め、炎症を抑制し、皮膚の新陳代謝のバランスを整える効果があります。日本では2018年7月現在、7種類の製剤が用いられていますが、日本皮膚科学会で定めた医療機関のみで使用が可能とされています。
白血球の活動や血管の拡張を抑制し、炎症を抑える効果があります。塗り始めた早期から効果が期待できます。
長期間使用すると、皮膚が薄くなってしまったり毛細血管が広がって赤い斑点のようになってしまったり、内出血を起こしたりすることがあります。薬の効き目の強さは5段階に分かれており、症状のレベルに応じて使い分けられます。
乾癬の異常な皮膚増殖や免疫反応を抑える効果があります。
1度に規定量を超えた量を使用すると体内のイオンのバランスが崩れ、喉の渇き、脱力感、食欲不振などの副作用が生じることがあります。塗ったときに刺激感がある場合がありますが、使用を続けていると次第に無くなっていくことが多いです。
ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬のメリットを組み合わせた薬で、即効性があり強い効果が期待できます。配合外用薬を使用する場合と、両方の薬を単独で使用する場合、また両方の薬を組み合わせて使用する場合など、症状に合わせて使用方法が異なります。配合外用薬は軟膏タイプとゲルタイプのみですが、ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬は軟膏・クリーム・ローションタイプがあるため、使用する部位や範囲で種類を変えることができます。
ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬の両方の副作用に注意して使用する必要があります。
ステロイド外用薬の副作用では、長期使用にて皮膚萎縮・毛細血管拡張・皮膚が薄くなる・多毛などが起こる場合がありますが、使用後すぐに現れるわけではありません。怖がらずに塗り薬はしっかりとした量を塗ることが重要です。
十分な効果を出すため、副作用を防ぐためには、皮膚科医の定めた用量・用法を守って使用することが大切です。外用薬で効果が得られてきたら外用薬の内容を変更したり、使用頻度を少なくしたり、ビタミンD3外用薬に移行したりして、いい状態を保っていきます。
乾癬に効果のある市販薬は現在販売されていません。乾癬はその人の症状に合わせた治療をすることが大切なので、自分で治療することはできないと考えられているからです。乾癬の症状の疑いがある時は医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬は乾癬の外用治療の柱です。乾癬は長くつきあっていく病気ですので、治療中にステロイド外用薬で副作用が起こることもありますが、その場合も使用頻度を減らしたり、ビタミンD3外用薬に変えたりなど他の治療方法に移行することができます。むやみに副作用を恐れずしっかり外用するのが重要ですが、副作用の症状が現れたときは、すぐに担当医に相談するようにしましょう。