血圧とは ― 血圧はどんな要素に左右されるの?

2018/5/31

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「血圧が上がる」という言葉はよく耳にしますが、具体的にはどのような要因が血圧に影響を及ぼすのでしょうか?血圧の仕組みについて解説していきます。

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血圧とは?

血圧とは、「血管壁に対する血液の圧力」のことで、心臓から送り出される血液量(心拍出量)と末梢血管での血液の流れにくさ(末梢血管抵抗)によって算出されます。その他にも、大動脈の弾力性・血液の粘性・血液の循環量なども関係しており、平均血圧は「心拍出量×末梢血管抵抗」で産出することができます。

収縮期血圧

心臓が大動脈へ血液を拍出する際には、血液を押し出すために心臓収縮が生じ、拍出された血液により大動脈の血管壁に圧力がかかります。このときの血圧を収縮期血圧と呼びます。血液が拍出される際に大動脈に弾力性がないと、血管壁に負荷がかかり血圧が上昇します。

拡張期血圧

拍出された血液が心臓に戻ってくると、心臓は血液で拡張され、大動脈の血液量が減少するので血管壁への圧力は低くなります。この時の血圧を拡張期血圧と呼びます。

動脈硬化を診断する際の一つの基準が、「脈圧」と呼ばれる、収縮期血圧と拡張期血圧の値の差です。脈圧の数値が高いほど、動脈硬化の進行が進んでいる場合が多く、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなります。

また、末梢動静脈系での拍動は「脈拍」と呼ばれ、「拡張期血圧+脈圧÷3」の計算でも平均血圧の算出が可能です。

血圧を左右する要素にはどんなものがあるの?

心拍出量

1回の拍動で送り出される血液量を「1回拍出量」といい、1分間に送り出される血液量を「心拍出量」といいます。血圧の上昇は、1回の拍動の強いほど起こりやすいとされています。

末梢血管抵抗

末梢血管(毛細血管)に血液が流れ込むときの抵抗(末梢血管抵抗)が強いと、血流が悪くなり、血圧が上昇します。その状態になると、末梢血管への血流を良くするために心臓が1回の拍動を強くするため、さらに血圧が上昇します。

循環血液量

体内を循環する血液量(循環血液量)が増加すると血圧が低下し、逆に血液量が少ないと血圧は上昇します。

血液の粘着度

血液は、液体成分である「血漿(けっしょう)」と固形である「赤血球」から作られています。しかし、固形成分(赤血球)の割合が増えると血液が粘り気を帯びるようになり、血流が悪くなります。また、血流を良くしようと心臓が1回の拍動を強くするため、さらに血圧が上昇します。

大動脈の弾力

動脈硬化(血管の弾力性の低下や、血管内のコレステロール沈着により血液の通り道が狭くなる症状)などにより大動脈の血流が悪くなると、血圧が上昇します。

おわりに:血圧検査で病気の早期発見・治療を

血圧には、心拍出量や大動脈の血管壁への圧力などが大きく関わっています。また、脈圧の数値が高いと動脈硬化の可能性が高いなど、血圧の数値を見ることで色々な病気の早期発見につながります。健康管理のためにも、定期的に血圧検査を受けましょう。

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