記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
顔などの目立つところにできると、気になって仕方がないニキビ。ニキビによっては痛みが生じる場合もありますが、この痛みの原因は何なのでしょうか?また、どう対処すればいいのでしょうか?
ある日突然ポツッとできるニキビですが、痛みのあるものとそうでないものとの両方を経験したことのある人が多いと思います。
そもそもニキビには、発生初期の状態の「白ニキビ」、白ニキビの毛穴が開いてきて肌の外に出てきた皮脂が空気の酸素によって酸化して黒くなった「黒ニキビ」、白ニキビが悪化して毛穴内部に溜まった皮脂にアクネ菌が繁殖し、痛みと炎症をおこしている「赤ニキビ」などがあります。このうち、赤ニキビのようなニキビによる痛みは、体の防衛本能である白血球が増えたアクネ菌を攻撃するために起こっています。
赤ニキビ以外にも「黄ニキビ」も痛みを感じるニキビですが、黄ニキビは赤ニキビの炎症がさらに悪化したもので、中には黄色い膿がたまっており赤ニキビよりも強い痛みを感じます。
また、ニキビのできた場所によっても痛みが生じやすいことがあります。例えばおでこやこめかみなど髪の毛が触れることの多い場所は、髪についたホコリや汚れがつきやすく、シャンプーやスタイリング剤などの残りも毛穴に入り込んでしまうために、ニキビが悪化しやすいです。
口や顎回りなどもニキビができるとつい触ってしまいがちな場所ですが、触れることによって細菌が入り込み、炎症を起こしやすくなりますので、痛みのあるニキビを作らないためにはなるべく触れないように意識しましょう。
痛みを感じるニキビは、かゆみを感じることもあります。なお、かゆみを感じたからといって掻いてしまってはニキビの悪化につながってしまいます。このようなときには加湿器や保湿剤で保湿をしたり、かゆみは体が温まると感じやすいため、患部を冷やしたりすると良いでしょう。
痛みを感じるニキビを悪化させないために気を付けたいことがいくつかあります。以下を参考にしてニキビの悪化防止に努めましょう。
前述したように、むやみにニキビに触ると雑菌が繁殖し、さらに痛みを感じることになりかねません。最悪ニキビ跡として残る可能性もありますので、触ったりつぶしたりしないようにしましょう。
マスクをつける際には少しサイズが大きめのものを使いましょう。ニキビとの摩擦がおこらないように注意し、咳やくしゃみをした場合にはこまめに取り換えるなど、マスク内の環境を清潔にすることが大切です。
ゴシゴシと力を入れて洗顔をおこなうと肌へダメージを与えてしまい、ニキビを悪化させる原因になります。洗顔はしっかりと泡立たせてから泡で優しく洗いましょう。
なお、洗顔料に含まれる合成界面活性剤やスクラブは肌への刺激が強すぎるので、トラブルを起こしているときにはこれらが含まれていない洗顔料がおすすめです。
化粧自体がニキビの原因となる根拠に乏しく、ニキビができても化粧をすることは可能です。よほどの厚塗りをしない限りは問題ありません。
ただし、ニキビができているときは炎症を起こしている状態ですので、肌にできるだけ負担のかからない化粧品(ノンコメドジェニック)を使用し、保湿などのスキンケアもしっかりすることが大事です。肌に残った化粧品は雑菌の温床となってしまうので、帰宅後は早めに化粧を落としましょう。
痛みを感じるニキビは炎症を起こしているサインです。雑菌が入り込んでこれ以上炎症を悪化させないよう、ニキビの周りの清潔を保ち、むやみに触れて刺激を与えないように気を付けましょう。