記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/23
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
「緑茶は健康にいい」なんて話、一度は聞いたことがありませんか?
中国医学では何世紀にもわたって、頭痛やうつ病の治療に用いられてきた緑茶。
「緑茶を飲むと痩せる」「コレステロールが下がる」「がんが予防できる」などなど、緑茶の効能に関するウワサはたくさん。
果たして、どれも本当なのでしょうか?それぞれの検証結果をまとめました!
緑茶でさまざまながんを予防できる、というのは実証されていません。
2009年には160万人以上を対象にした、緑茶と消化管関連のがん、前立腺がん、乳がん、口腔がん、肺がんに関する51の研究が実施されましたが、「緑茶とがんとの関連性は弱い」という結論に至っています。
また2015年には、「ハーセプチン(胃がんと乳がんの治療に使用される薬)を緑茶と併用したところ、より治療効果が高い化合物に変わった」という研究が発表されました。まだ初期の実験段階ですが、将来的にはがんの治療に応用される可能性があります。
緑茶に含まれる抗酸化物質(カテキンやカフェイン)には、カロリー燃焼の効果があると考えられています。また、新陳代謝が良くなるとも言われています。
ただ、ダイエットに使用される緑茶生成物とは、普通の緑茶ではなく高濃度のカテキンやカフェインを含んだ緑茶の抽出物です。実際2012年での研究では、緑茶を飲むことによる体重減少について有意な効果は認められませんでした。
2013年に報告された821人を対象とした11の研究では、「緑茶を毎日飲むと、カテキンの効果でコレステロールと血圧が下がりやすくなる」ということがわかりました。ただ、これは短期間に行われた研究だったため、裏づけをとるためには、より長期間で精度の高い検証が行われるべきだと言われています。
また、2011年の別の研究でも「緑茶を飲むと、カテキンの効果で心臓病や脳卒中の主な原因であるコレステロールがわずかに減少する」と発表されています。しかし、健康のために飲むべき量はどれくらいなのか、また飲むことによる身体への長期的な影響についてははっきりしていません。
2010年に研究が行われましたが、アルツハイマー病に効果的な物質が緑茶に含まれているかについて、はっきりした結果は認められませんでした。
過去の研究データをまとめた2014年の調査で、緑茶に血圧を下げる効果があるかを調べたところ、高血圧の人の人数がおよそ半減したそうです。ただ、心臓病や発作の発症を予防するかどうかまでは不明確です。
2014年、一般に使用される抗菌マウスウォッシュと比較して、緑茶うがいが虫歯を予防する上でどれほど有効かの研究が行われました。結果的にはどちらも同じくらい有効だとわかりましたが、緑茶うがいのほうが安く済む点で一歩リードしていると考える人もいます。
一部の国では、関節炎の治療やダイエット、がんの予防のために緑茶が使用されてきましたが、効果の検証は不十分です。
しかし、ビタミンB群、葉酸、マンガン、カリウム、マグネシウム、カフェイン、カテキンなどの抗酸化物質が含まれているというメリットはあるので、適量であれば飲み続けてもいいでしょう。
私たち日本人の生活に身近な緑茶。
現段階では、まだまだその効能ははっきりわからない点が多いです。今後の研究にも期待が膨らみますね。虫歯予防の効果があり、低コストな「緑茶うがい」はぜひ今日から試してみたいものです!