記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
もし身近な家族や友人が、突然パニック発作を起こしたら、どう対応すればいいのでしょうか。今回は、パニック障害の患者さんの周囲の方に向けて、患者さんに接するときのポイントをご紹介します。
パニック障害とは、予測できない「パニック発作」が2回以上起こり、それによって少なくとも1か月間、パニック発作を過度に心配し、外出などが極端に制限されてしまうなど行動上の変化が見られる状態のことをいいます。
パニック発作とは、病院で心電図などの検査を受けても体に病気などの異常がないにもかかわらず、突然の動悸や呼吸困難、発汗といった身体症状が出現するもので、症状が出現したことによって死んでしまうのではないかと恐怖に陥るのが特徴となります。多くの場合、発作症状は10分以内にピークに達し、長くても30分から1時間ほどでおさまりますが、発作は何度でも起こります。
近年ではよく耳にするこの病気ですが、世に出たのは1980年とされています。1990年初頭では「パニック障害などない」とする専門家もいましたが、30年という年月が経ち、少しずつ理解されてきた疾患でもあります。
一生のうちで全人口の2~3%がかかる疾患で、好発年齢は20~30歳代、女性の発症率が男性の約2倍とされています。
パニック発作は身体的な異常は検査をしても何もありません。そのため、身体の病気ではなく、心の病気であるということを理解したうえで接するようにしましょう。
そのうえで、パニック障害の人と接する際に1番大切なことはいつもと変わらず普通に接することです。
そうすることでその人自身の気持ちも楽になります。症状が出現しているなど体調が悪そうなときは無理をせずにそっとしてあげることも大切です。
また、パニック障害になったことによってできなくなることは何もありません。一緒にスポーツをするなど、今までの日常生活を取り戻せるような関わりも良いでしょう。
さらに、精神科医というかかりつけ医をもち定期的に受診ができるような声かけ、サポート体制を整えてあげることもパニック障害のある人と接するうえでは大切です。
パニック障害の人は、「次いつ発作が起こるのか」という不安を強く抱える人が多く、これを「予期不安」といいます。
この予期不安は自分では自覚しにくいため、もしもパニック障害の人がいつもよりも神経質になっていたり、なんとなく落ち着かない様子が見られたり、心配している様子が続いているようであれば、「最近、何かあった?」というような声かけをしてあげると良いでしょう。
また、パニック発作が起こっているときには、「じきに治まるから大丈夫」「発作が治まるまではこうして話をしているからね」などと励ますことで不安が治まり、冷静さを取り戻せることもあります。
パニック発作が起きてしまったときには、頓服薬を常備しているのであれば、まずは頓服薬を内服して様子を見ましょう。そして息をゆっくり吐き、呼吸を整えるようにしましょう。その場でしゃがんで前かがみの姿勢をとる、腹ばいの姿勢をとると腹式呼吸に自然となるため、息苦しさや動悸を抑えやすくなります。
このほか、アロマテラピーなど好きな精油の香りを嗅ぐことも、副交感神経を活性化させ、呼吸を静めてくれる効果が期待できます。
また、圧迫感のない落ち着いたところに移動して心を落ち着かせることも大切です。パニック発作は温度の上昇によっても起こりやすくなるため、人込みの中など暑いところでパニック障害が起こった場合は冷たい水を飲むのも良いでしょう。
もしも、パニック発作を起こしている人を見かけた場合には、そばについて安心するように声をかけてあげるようにしましょう。
パニック障害の患者さんは、予期不安によって日常生活に支障が出ることがあります。そこで周囲の人は、「パニック障害は心の病である」ということをよく理解し、いつも通りに接してあげることが大切です。
また、患者さんに発作が起こった際には励ましたり、そばにいてあげるなどサポートする姿勢をとることが重要です。